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編集後記 フリーアクセス
著者: 吉尾雅春
所属機関:
ページ範囲:P.720 - P.720
文献購入ページに移動サミットに先立って,札幌では登山家の野口健氏による環境フォーラムが開かれました.地球温暖化を主題とした講演とシンポジウムで構成されていましたが,野口氏の実体験に基づくヒマラヤの氷河の現状報告には説得力がありました.会場には,地球温暖化によって海中に消えゆくであろうと言われる南洋の国ツバルを写真で報告し続けている遠藤秀一氏の姿もあり,自身の生活のあり方を改めて問い直すよい機会になりました.しかし,環境サミットとさえ言われた北海道洞爺湖サミットの総括を聞いた時,サミット期間中,洞爺湖一帯がほとんど晴れ間を見せなかったことと重ねて受け止めたのは,私だけではなかったかもしれません.「世界は地球環境と食料問題などを中心にparadigm shiftしていくべきである」とその道の専門家たちは声を揃えて述べていましたが,地球よりもそれぞれの国益が優先されるという展望のない結論に私は落胆してしまいました.
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