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文献詳細

雑誌文献

理学療法ジャーナル43巻10号

2009年10月発行

文献概要

特集 老化による身体機能低下と理学療法

高齢者の栄養管理と理学療法

著者: 綾部仁士1 鈴木裕也1 石村博史2 海塚安郎3

所属機関: 1新日鐵八幡記念病院リハビリテーション部 2新日鐵八幡記念病院麻酔科 3新日鐵八幡記念病院集中治療部

ページ範囲:P.885 - P.894

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はじめに

 少子高齢化の進行に伴う高齢人口の増加により,理学療法対象患者における高齢者の割合は急増している.また,医療技術の進歩に伴い,重症病態や周術期の高齢者に理学療法を実施するケースも増加傾向にある.医療現場の最前線においては,高齢化による病態の複雑化が進み,これまでのような各医療職の専門思考だけでは対応できない状況が広がっている.したがって,急性期医療においては,重症病態や手術侵襲という大きなリスクをもつ高齢患者が,精神・認知機能,身体機能を十分回復させてもとの暮らしに復帰できるまでを診る,医療サービスの提供が求められている.その実現のためには,チーム医療が必要であり,そのなかであまり顧みられなかった,高齢者の身体特性, 侵襲下での代謝動態,栄養管理の重要性を理解することが前提となる.

 本稿では,高齢者の身体特性,侵襲下の生体反応,栄養障害の特徴と基本的評価項目について解説し,当院における高齢の熱傷患者と腹部大血管手術を行った高齢患者に対する栄養管理下での早期理学療法の実際を紹介する.

参考文献

1)Frontera WR, et al:A cross-sectional study of muscle strength and mass in 45-to 78-yr-old men and women. J Applied Physiol 71:644-650, 1991
2)Lexell J, et al:What is the cause of the ageing atrophy? Total number, size and proportion of different fiber types studied in whole vastus lateralis muscle from 15-to 83-year-old men. J Neurol Sci 84:275-294, 1988
3)Kamel HK:Sarcopenia and aging. Nutr Rev 61:157-167, 2003
4)海塚安郎:術後栄養管理 重症熱傷:繰り返す侵襲下長期にわたる栄養管理の諸問題―施設における管理法の確立とその検証.臨床栄養別冊栄養力UP NST症例集:123-133,2008
5)後藤 渉,他:栄養アセスメント指標としての総コレステロールの有用性.静脈経腸栄養 23:97,2008
6)鈴木裕也,他:熱傷症例の栄養指標と身体機能の改善について.静脈経腸栄養 24:228,2009
7)石村博史:ピットフォール―気をつけたいロピバカインの副作用・留意点.日臨麻誌 29:730-742,2009
8)ATS Committee on Proficiency Standards for Clinical Pulmonary Function Laboratories:ATS statement guideline for six-minute walk test. Am J Respir Crit Care Med 166:111-117, 2002

掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1882-1359

印刷版ISSN:0915-0552

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