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文献詳細

雑誌文献

理学療法ジャーナル43巻11号

2009年11月発行

文献概要

特集 地域の高齢者に対する理学療法士の視点

介護予防事業を通した町づくりに貢献する理学療法士の視点

著者: 滝本幸治1 宮本謙三1 宅間豊1 井上佳和1 宮本祥子1 竹林秀晃1 岡部孝生1 松村千賀子2

所属機関: 1土佐リハビリテーションカレッジ理学療法学科 2香南市役所高齢者介護課

ページ範囲:P.983 - P.988

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はじめに

 2006年の改正により,介護保険は総合的な予防重視型システムへの転換が図られた.同時に,地域における総合的なマネジメントを担う総合機関として地域包括支援センターが創設され,地域支援事業として介護予防事業を行うことになった.この介護予防事業の対象は,一般(元気)高齢者および特定(虚弱)高齢者であり,要支援・要介護状態でないすべての高齢者が含まれる.現在,本邦の高齢化率は22.1%(2008年10月1日時点)であり,総人口が減少に転じても高齢化率が上昇を続けると推計されているが1),このような状況の中,「町づくり」においては高齢者がいかに活き活きと過ごせるかという視点が欠かせない.そのために重要なのは,「高齢者の生活圏域内で必要なサービスを提供・完結させること」2)と「高齢者を中心とした地域住民の主体的な参加」3)である.

 以上のような背景の下,われわれはこれまで高知県香南市において介護予防事業に携わってきた注).具体的には,①高齢者健康診査(以下,高齢者健診),②介護予防運動教室,③自主運動グループ支援,④リーダー育成などであり,自治体とともに社会福祉協議会や地域スポーツクラブ(NPO)なども必要に応じて役割を担ってきた.本稿では,同市の概況を踏まえた上で,取り組みの概要とともに,理学療法士が介護予防事業を通して町づくりにどのように貢献できるのか私見を述べる.

参考文献

1)内閣府:平成21年度高齢社会白書,2009
2)高齢者介護研究会:報告書「2015年の高齢者介護」,厚生労働省,2003
3)小島基永,大渕修一:地域包括支援センターにおける理学療法士の役割と課題.PTジャーナル 42:39-44,2008
4)今井 淳:高知県の介護予防への取り組み.公衆衛生 69:634-638,2005
5)宮本謙三,他:介護予防を目的とした運動教室の展開―小規模自治体からの実践報告―.理学療法学 32:384-388,2005
6)柳 尚夫:介護予防事業の現状と問題点.総合リハ 36:755-760,2008
7)川越雅弘:介護予防評価システムの開発.総合リハ 34:1027-1033,2006
8)宮本謙三,他:加齢による敏捷性機能の変化過程―Ten Step Testを用いて―.理学療法学 35:35-41,2008
9)滝本幸治,他:介護予防を目的とした運動教室の効果検証―体力標準値作成及び得点化による方法を用いて―.高知県理学療法 14:15-20,2007
10)日本理学療法士協会ウェブサイト(統計・資料)(http://wwwsoc.nii.ac.jp/jpta)
11)滝本幸治,他:地域に根ざした高齢者運動教室の効果検証―総合体力評価と効果要因の検討を踏まえて―.理学療法科学 24:281-285,2009
12)滝本幸治,他:介護予防事業の教育的活用と地域貢献.PTジャーナル 42:960-961,2008
13)岩月宏康:Philadelphia Geriatric Center Morale Scale.内山 靖,他(編):臨床評価入門,pp321-325,協同医書出版社,2003
14)吉永智子:市内全域に拡大してきた「いきいき百歳体操」.総合ケア 15:18-23,2005
15)井上佳和,他:地域元気高齢者を協力員とする転倒予防教室に携わって.土佐リハビリテーションジャーナル 5:29-35,2006
16)大渕修一:介護予防施策としての運動器疾患対策.公衆衛生 73:266-271,2009
17)安村誠司:介護予防事業の基本的な考え方とその評価―今後の課題―.総合リハ 34:1021-1026,2006
18)川西正志:スポーツクラブの現状と課題.川西正志,野川春夫(編著):生涯スポーツ実践論改訂第2版,pp182-190,市村出版,2006

掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1882-1359

印刷版ISSN:0915-0552

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