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文献詳細

雑誌文献

理学療法ジャーナル43巻11号

2009年11月発行

文献概要

短報

軽度脳血管性認知症患者の歩行距離の増加を目的とした応用行動分析学的介入

著者: 明﨑禎輝1 山﨑裕司2 松田司直1 浜岡克伺1 吉本好延1 吉村晋1 野村卓生3 佐藤厚4

所属機関: 1厚生年金高知リハビリテーション病院リハビリテーション科 2高知リハビリテーション学院理学療法学科 3大阪府立大学総合リハビリテーション学部理学療法学専攻 4高知女子大学生活科学部健康栄養学科

ページ範囲:P.1017 - P.1021

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要旨:本研究では,軽度脳血管性認知症症例に応用行動分析学的介入を行い,連続歩行距離の増加に対する有効性について検討した.研究デザインはシングルケースデザインのABA法を用いた.ベースライン期(phase A)では,歩行前に「できるだけ頑張って長く歩いて下さい」と声かけのみ行った.介入期(phase B)では,自宅復帰した際に必要となる歩行距離の教示,1日ごとの目標歩行距離の教示と,達成した際の注目・賞賛を行った.その後,ベースライン期と同様の消去期(phase A)を設けた.その結果,介入期において連続歩行距離と運動強度が増加し,消去期にはそれらの低下を認めた.これらのことから,今回行った応用行動分析学的介入は,本症例の連続歩行距離を増加させるうえで有効に機能したものと考えられた.

参考文献

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掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1882-1359

印刷版ISSN:0915-0552

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