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文献概要
特集 連携教育
連携教育の実践と課題
著者: 大嶋伸雄1
所属機関: 1首都大学東京大学院人間健康科学研究科
ページ範囲:P.1033 - P.1041
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1.“Inter-professional”による連携を理解する
保健・医療・福祉の分野において「連携」という用語が頻繁に使われるようになったのは,いつの頃からであろうか.以前は,医師を他の医療職の円の中心に配置し,理学療法士や作業療法士,看護師などすべての専門職を医師の周囲を回る衛星のごとく見立てて,“para-medical”と呼んでいたが,その考え方は「患者不在」であると世間から批判を受けた.そこで,「患者中心の医療」,「チーム医療の中心は患者」とするイメージを前面に打ち出すため,次は医師が医療職の輪の中に収まって中心位置に患者を据え,医師以外の専門職は“co-medical”と呼ばれるようになった(患者中心の医療を推進するための専門職相関図).つまり従来の“medical”とはあくまでも医師だけであった.しかし,医師はそういった医療職全体や組織を管理するための教育を受けているのだろうか.
保健医療福祉専門職連携,つまりinter-professionalの実践には「専門職のチーム」が必要であるが,チームにはチーム内のすべての専門職を理解しているリーダーもしくはマネージャーが必要となる.しかし,わが国においては,医学生をはじめ,保健医療福祉のどの専門職教育においてもそういった「マネジメント教育」は実施されてこなかった.
1.“Inter-professional”による連携を理解する
保健・医療・福祉の分野において「連携」という用語が頻繁に使われるようになったのは,いつの頃からであろうか.以前は,医師を他の医療職の円の中心に配置し,理学療法士や作業療法士,看護師などすべての専門職を医師の周囲を回る衛星のごとく見立てて,“para-medical”と呼んでいたが,その考え方は「患者不在」であると世間から批判を受けた.そこで,「患者中心の医療」,「チーム医療の中心は患者」とするイメージを前面に打ち出すため,次は医師が医療職の輪の中に収まって中心位置に患者を据え,医師以外の専門職は“co-medical”と呼ばれるようになった(患者中心の医療を推進するための専門職相関図).つまり従来の“medical”とはあくまでも医師だけであった.しかし,医師はそういった医療職全体や組織を管理するための教育を受けているのだろうか.
保健医療福祉専門職連携,つまりinter-professionalの実践には「専門職のチーム」が必要であるが,チームにはチーム内のすべての専門職を理解しているリーダーもしくはマネージャーが必要となる.しかし,わが国においては,医学生をはじめ,保健医療福祉のどの専門職教育においてもそういった「マネジメント教育」は実施されてこなかった.
参考文献
1)池川清子,他:Inter-professionalとは何か(連載1).Quality Nursing 4:73-80,1998
2)大嶋伸雄:作業療法士教育におけるインタープロフェッショナル教育の意義と役割.Quality Nursing 10:41-46,2004
3)CAIPE:Principles of Interprofessional Education, CAIPE, London, 2001
4)Leathard A:Going inter-professional:working together for health and welfare, Routledge, London, 1994
5)Leathard A:Interprofessional collaboration:from policy to practice in health and social care, Brunner-Routledge, San-Francisco, 2003
6)大嶋伸雄:保健医療福祉系大学におけるインタープロフェッショナル教育(IPE)の認知度と今後の発展性に関する全国調査.保健医療福祉連携 1:27-31,2009
7)Germain C:Social work practice in health care. Free Press, New York, 1984
8)松岡千代:ヘルスケア領域における専門職連携―ソーシャルワークの視点からの理論的整理―.社会福祉学 40(2):17-38, 2000
9)野中 猛:図説ケアチーム, 中央法規出版,2007
10)菊池和則:多職種チームの3つのモデル.社会福祉学 39(2):273-290, 1999
11)Karolinska Institutet:All together better health Ⅳ,final programme and abstract book,Inter ED, London, 2008
1)大嶋伸雄:作業療法教育におけるInter-professional Education(IPE).OTジャーナル 41:971-979,2007
2)藤井博之,他:保健医療福祉くせものキーワード事典,pp42-51,pp115-125,医学書院,2008
3)Meads G:The case for interprofessional collaboration, Blackwell Publishers, London, 2005
4)Barr H, et al:Effective interprofessional education:argument, assumption and evidence, Blackwell Publishers, London, 2005
5)Lawson H:The logic of collaboration in education and the human services. J Interprof Care 18:225-237, 2004
6)Freeth D, et al:Development and delivery of interprofessional education, Blackwell Publishers, London, 2005
7)Soothill K, et al:Interprofessional relations in health care, Arnold, London, 1994
掲載誌情報