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文献概要
特集 連携教育
連携教育の実践と課題―看護学領域から
著者: 酒井郁子1
所属機関: 1千葉大学大学院看護学研究科
ページ範囲:P.1053 - P.1059
文献購入ページに移動はじめに
千葉大学は「つねに,より高きものをめざして」を大学理念とし,「底力宣言,千葉大学」をキャッチフレーズにしている.地味な校風であるが,目立たなくとも社会のためによい仕事をすることに価値を置き,総合大学の利点を活かし学部や専門領域を超えて新しい知の創出に挑戦している1).千葉県内に4つのキャンパスを有しており,その中の1つである亥鼻キャンパスには医学部,看護学部,薬学部の医療系の3学部の大学生,大学院生が学んでいる.同敷地には,医学部附属病院や各種研究施設が併設されている.3学部の学生定員は,医学部が110名,薬学部,看護学部は各80名である.医学部は明治7(1874)年に創設され,1949年に千葉大学医学部となり,今年で135周年を迎える伝統ある学部である.薬学部の創設は1890年であり,国立大学法人の薬学部の中では最大規模の学生を有している.看護学部の創設は1975年で,国立大学法人で唯一の看護学部として,看護学分野では国内で最大規模の大学院を有している.
本稿では,国立大学法人の医療系学部における専門職連携教育(以下,IPE)の取り組みについて,目的,カリキュラム,科目運営の実際を紹介する.その上で看護学からみたIPEとその課題について検討したい.われわれは,千葉大学亥鼻キャンパスの3学部が取り組むIPEを「亥鼻IPE」と呼んでおり,以下,本稿では千葉大学における専門職連携教育の取り組みを「亥鼻IPE」と表現する.
千葉大学は「つねに,より高きものをめざして」を大学理念とし,「底力宣言,千葉大学」をキャッチフレーズにしている.地味な校風であるが,目立たなくとも社会のためによい仕事をすることに価値を置き,総合大学の利点を活かし学部や専門領域を超えて新しい知の創出に挑戦している1).千葉県内に4つのキャンパスを有しており,その中の1つである亥鼻キャンパスには医学部,看護学部,薬学部の医療系の3学部の大学生,大学院生が学んでいる.同敷地には,医学部附属病院や各種研究施設が併設されている.3学部の学生定員は,医学部が110名,薬学部,看護学部は各80名である.医学部は明治7(1874)年に創設され,1949年に千葉大学医学部となり,今年で135周年を迎える伝統ある学部である.薬学部の創設は1890年であり,国立大学法人の薬学部の中では最大規模の学生を有している.看護学部の創設は1975年で,国立大学法人で唯一の看護学部として,看護学分野では国内で最大規模の大学院を有している.
本稿では,国立大学法人の医療系学部における専門職連携教育(以下,IPE)の取り組みについて,目的,カリキュラム,科目運営の実際を紹介する.その上で看護学からみたIPEとその課題について検討したい.われわれは,千葉大学亥鼻キャンパスの3学部が取り組むIPEを「亥鼻IPE」と呼んでおり,以下,本稿では千葉大学における専門職連携教育の取り組みを「亥鼻IPE」と表現する.
参考文献
1)千葉大学ホームページ http://www.chiba-u.ac.jp/
2)宮崎美砂子(編),飯野理恵(著):国内におけるIPEの事例調査報告,文部科学省現代的教育ニーズ取組支援プログラム(現代GP),自立した医療組織人育成の教育プログラム―専門職連携能力育成をコアに置いた人材育成,平成19年度成果報告書,pp26-32,2008年
3)酒井郁子,他:千葉学ブックレット,千葉の健康3 患者中心の医療を実現する―千葉大学亥鼻IPEからの発信,千葉日報社,2008
4)千葉大学看護学部・薬学部・医学部:文部科学省平成20年度現代的教育ニーズ取組支援プログラム,自律した医療組織人育成の教育プログラム―専門職連携能力をコアに置いた人材育成,平成20年度成果報告書,p2,2009
5)社団法人日本看護協会:看護協会ニュース 号外,2009.7.9
6)岩波浩美,他:わが国の看護系大学・短期大学におけるカリキュラムの現状.看護教育学研究 7:31-40,1998
7)Leathard A:Inter-professional developments in Britain, going inter-professional:working together for health and welfare, pp3-37, Routledge, London, 1994
8)宮崎美砂子,山本利江:学士課程看護基礎教育のカリキュラム改革,千葉大学看護学部紀要 29:49-54,2007
9)ドナルド・ショーン(著),佐藤 学,秋田喜代美(訳):専門家の知恵The Reflective Practitioner,p101,ゆみる出版,2001
10)酒井郁子,宮﨑美砂子:総合大学医療系学部における専門職連携教育プログラムおよび評価方法の開発.日本看護教育学会誌学術集会講演集 18:256,2008
11)Miyazaki M, et al:The development of learning outcome evaluation items for interprofessional education in Japan, Association for Medical Education in Europe 2008 Conference, p129, 2008
12)天野正子:看護婦の労働と意義―半専門職の専門職化に関する事例研究.社会学評論 22:30-49,1972
13)田尾雅夫:看護婦におけるプロフェッショナリズムの態度構造.病院管理 17(4):43-50,1980
14)白石裕子:看護職の「専門職性」に関する一考察,香川県立医療短期大学紀要 2:143-151,2000
15)野本百合子:看護の専門職性に関する研究の動向と課題―2002年から2007年に発表された海外の研究に焦点を当てて―.愛媛県立医療技術大学紀要 5(1):1-7,2008
16)Glen S:Interprofessional education:the policy context interprofessional post-qualifying education for nurses, p2, Palgrave Macmillan, 2004
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