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文献詳細

雑誌文献

理学療法ジャーナル43巻12号

2009年12月発行

文献概要

症例報告

下腿骨骨折後の外旋変形による歩行時足部痛に対して足底挿板が奏効した1症例

著者: 熊谷匡晃1 林典雄2 稲田均1 村山泰規3

所属機関: 1鈴鹿中央総合病院 2中部学院大学 3三島共立病院

ページ範囲:P.1101 - P.1105

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要旨:下腿骨幹部骨折に合併する変形治癒に対して,保存療法の有効性を示した報告は見当たらない.今回,下腿骨幹部骨折後の下腿外旋変形により歩行時痛を呈した症例に対する足底挿板療法を経験した.手術は脛骨骨折に対して髄内釘横止め法にて整復固定が行われ,術後4週間の外固定後,運動療法を開始した.術後13週より1/2荷重が許可されたが,荷重に伴う下腿ならびに足部の疼痛を強く訴えた.トウアウト(toe-out)荷重に伴う後足部の過回内と,中足部以遠の外旋ストレスが大きくなることによる後脛骨筋腱炎,ならびに下腿遠位への外旋トルクの反復負荷が骨膜性疼痛を惹起したことが,疼痛の原因として考えられた.治療としては,足関節周囲の軟部組織の柔軟性を改善したうえで,これらの機械的ストレスを軽減するため,踵接地時の踵骨の直立化,トウアウト荷重に伴い生じる舟状骨の落ち込みの防止,下腿の内旋誘導を目的とする足底挿板が有効であった.

参考文献

1)山岡豪大朗,他:髄内釘を用いて矯正骨切り術を施行した下腿骨骨折後変形治癒の2例.中四整会誌 16:19-24,2004
2)小藤和孝,他:下肢回旋変形に対するTaylor Spatial Frame Fixatorの有用性.整形外科 56:1257-1260,2005
3)林 正徳,他:下腿骨骨折外旋変形治癒に対し横止め髄内釘を用いて矯正骨切り術を施行した1例.整形外科 49:1650-1651,1998
4)内田俊彦,他:下肢障害に対する足底挿板療法.義装会誌 10:1-7,1994
5)日野邦彦:スポーツ外傷に対する足底挿板の適応と限界.理学療法 17:491-498,1993
6)入谷 誠,他:足部装具―dynamic shoe insoleについて―.理学療法 10:205-210,1993
7)林 典雄,他:スポーツ選手に生じた膝窩部痛の解釈と足底挿板療法.義装会誌 22(学会特別号):266-267,2006
8)長田瑞穂,他:足底挿板が後脛骨筋と母趾外転筋の筋活動に与える影響.整形リハ会誌 7:173-175,2004

掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1882-1359

印刷版ISSN:0915-0552

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