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文献詳細

雑誌文献

理学療法ジャーナル43巻2号

2009年02月発行

文献概要

特集 クリニカルリーズニング

理学療法士養成課程におけるクリニカルリーズニング教授法

著者: 有馬慶美1

所属機関: 1新潟保健医療専門学校

ページ範囲:P.101 - P.105

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はじめに

 人は日々の生活の中で常に問題を抱え,問題の原因や解決策をリーズニング(以下,推論)しながら,それを解決し生活している.例えば,自分が運転している車が急に動かなくなったら,「ガス欠か?」と推理し,ガソリンメータを見る.ガソリンが空ならば,「一番近いガソリンスタンドはどこだろう」と考えて探し,給油して問題を解決する.このように,推論すること自体は特別な能力ではなく,推論能力は日々生活の中でトレーニングされ,発達している.一方,理学療法場面における推論能力はどうであろう.学生にとって,臨床場面で推論することは非常に困難なようである.このことには根拠がある.それは,推論の困難さを規定する因子で最も強い影響を及ぼすのが「内容的なもの」1)であるからである.Wasonら1)によると,同一の構造をした推論問題でも,その難易度は“課題の親近性”に左右されるという.つまり,固有領域における推論過程で要求される知識や思考パターンに精通していれば推論は容易となるが,そうでなければ推論そのものが頓挫することとなる.本稿では,理学療法という固有領域において,いかに推論能力を分析し,向上させるかについて,実際の学生の推論過程を観察しながら考察する.

参考文献

1)Wason PC, Johnson-Laird PN:Psychology of reasoning, pp191-192, Harvard University Press, Cambridge, 1972
2)Higgs J, Jones M:Clinical reasoning in the health professions, pp105-116, Butterworth Heinemann, Oxford, 2000
3)Novak JD, Gowin DB:Learning how to learn, pp7-24, Cambridge University Press, Cambridge, 1984
4)Bransford D, Sherwood R:Teaching thinking and problem solving. Am Psychol 41:1078-1089, 1986
5)Langer E, et al:The mindlessness of ostensibly thoughtful action:The role of“placebic”information in interpersonal interaction. J Pers Soc Psychol 36:635-642, 1978
6)Bruner S, et al:Studies in cognitive growth, pp64-99, John Wiley, New York, 1968
7)Glaser R:Advances in instructional psychology, Vol. 1, Lawrence Erlbaum Associates, Hillsdale, NJ, 1978
8)Gagné R, Gibson J:Motion picture trainig and research, Government Printing Office, Washington, 1947
9)Palinscar AS, Brown AL:Reciprocal teaching of comprehension monitoring activities. Cogn Instr 1:117-175, 1984
10)Eich E:Context, memory, and integrated item/context imagery. J Exp Psychol Learn Mem Cogn 11:764-770, 1985

掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1882-1359

印刷版ISSN:0915-0552

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