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短報
大腿骨頸部/転子部骨折症例における歩行能力回復と栄養学的因子の関係
著者: 古庄寛行1 林田正1 奥田保弘1 大塚義嗣1 中野哲雄2
所属機関: 1公立玉名中央病院リハビリテーションセンター 2公立玉名中央病院整形外科
ページ範囲:P.159 - P.161
文献購入ページに移動近年,大腿骨頸部/転子部骨折症例においては,手術方式の進歩によって早期離床が可能となり,当院では不安定骨折で免荷の必要がある症例,肺炎や深部静脈血栓症(deep vein thrombosis:DVT)などの合併症を伴った症例など一部を除き,術後2~5日内に患側下肢全荷重許可での歩行を開始する.通常,術後理学療法では,平行棒内から歩行器,杖や老人車使用での歩行へと進めていくが,歩行再獲得が遅延,あるいは歩行不能となる症例が存在し,なかには著しい体力の低下を認める症例もある.
この原因について,昨今の栄養サポートチーム(nutrition support team:NST)による先行研究を参照すると,栄養状態が関与している可能性も考えられたが,大腿骨頸部/転子部骨折の予後(歩行再獲得)を調査した報告は見当たらなかった.また,2005年に発表された「大腿骨頸部/転子部骨折診療ガイドラン」1)では,歩行再獲得の阻害因子として,年齢,受傷前歩行能力,認知症,骨折型などが報告され,加えて栄養状態が関与する可能性が示されているが,十分な報告がないため,さらなる研究が必要となっている.そのため本研究では,大腿骨頸部/転子部骨折症例における,術後歩行能力の回復と栄養摂取量,および栄養状態の指標となる血清アルブミン値(serum albumin:以下,Alb値),体容量指数(body mass index:以下,BMI)の関係を調査し,検討を行った.
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