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雑誌目次

雑誌文献

理学療法ジャーナル43巻3号

2009年03月発行

雑誌目次

特集 不全型脊髄損傷の病態と理学療法

EOI(essences of the issue)

ページ範囲:P.185 - P.185

 不全型脊髄損傷は,損傷高位と重症度により機能予後が大きく異なる.多様な症状を呈するためゴール設定に難渋し,リハビリテーションが長期化しやすいという問題も持っている.そのため,適切な評価と病態理解に基づいた介入計画が重要となる.本特集では,不全型脊髄損傷の疫学と病態を理解し,不全型脊髄損傷に対する現在の理学療法のありかたを整理する.

不全型脊髄損傷者の疫学と病態

著者: 古澤一成 ,   德弘昭博

ページ範囲:P.187 - P.193

はじめに

 高齢化社会の到来に伴って,リハビリテーション(以下,リハ)医療の現場でも,あらゆる疾病において「高齢化」と「重度化」の波が押し寄せているのを感じる.脊髄損傷も例外ではなく,今や高齢者の受傷と不全損傷者の増加,重度化の傾向が,社会復帰を阻害する因子として大きな比重を占めている印象がある.このような状況にあって,われわれが行うべきことは,まず脊髄損傷の“Japanese problem”を正確に把握することであり,それによって適切な対応をとることができる.

 本稿では,全国脊髄損傷データベースから,不全型脊髄損傷(以下,不全損傷)の特徴について完全損傷と比較しながら述べる.また,過去10年間のデータを前半と後半に分けて分析し,脊髄損傷の最近の傾向を示すことで,上記の問題をより明確にしたい.

不全型脊髄損傷の特徴と理学療法

著者: 武田正則 ,   出口貴行

ページ範囲:P.195 - P.202

はじめに

 われわれ理学療法士は,脊髄損傷と聞けば完全型損傷(以下,完全損傷)者のイメージを持ちやすく,テキストなどにおいても,完全損傷を中心とした理学療法アプローチが紹介されている.したがって,あまり臨床で脊髄損傷の患者を受け持った経験がない理学療法士の中には,不全型損傷(以下,不全損傷)は理学療法アプローチが難しいと感じている人も少なくないであろう.従来,脊髄損傷は年齢別発生数のピークが20歳代前後と50歳代の二峰性を示しているといわれてきたが,近年の脊髄損傷の発生状況をみると,不全損傷が増加傾向にあり,受症時年齢も高齢化してきている1,2).また,不全損傷は,症例により病態や麻痺の状態がかなり異なることと,心理的にも完全損傷とは異なる場合が多いことも理学療法アプローチを難しくしている要因であると考えられる.本稿では,不全損傷の特徴と最近の臨床的な傾向,理学療法アプローチを中心に述べる.

不全型脊髄損傷者の歩行再建と理学療法

著者: 藤縄光留 ,   相馬光一 ,   金誠熙

ページ範囲:P.203 - P.211

はじめに

 ヒトは,移動様式として直立二足歩行を獲得したことにより,自由な手と脳の発達を生み,結果として豊かな知性や言葉,そして文化をも持つに至ったと考えられている1).ヒトの特徴ともいうべき歩行に障害を持つということは,移動手段の制約ばかりではなく,精神的な喪失感も計り知れないものがあることを理解する必要がある.脊髄損傷者に限らず,歩行障害を持つ者にとって歩行の再建は切実な願いであり,その思いに耳を傾ける真摯な姿勢がセラピストには必要である.本稿では,不全型脊髄損傷者(以下,不全損傷者)にとっての歩行の意義や歩行再建を念頭においた評価のポイント,および介入方法について述べる.

不全型脊髄損傷に伴う痛み・異常感覚と理学療法

著者: 栗田英明 ,   水上昌文

ページ範囲:P.213 - P.220

はじめに

 脊髄損傷者における疼痛はリハビリテーションの進行を阻害するだけでなく,日常生活動作やQOLを低下させ,さらに心理的・精神的ストレスとなり,患者にとっては大きな問題となる1,2).特に臨床場面では,不全型脊髄損傷者(以下,不全損傷者)の疼痛や異常感覚の訴えにより,理学療法を実施する上で難渋することが多い.しかし,これらの脊髄障害に伴う痛みや異常感覚に対する有効な医学的治療手段は少なく,また理学療法での介入は困難を極めているのが現状である.そこで本稿では,不全損傷者に限らず,脊髄損傷に合併する痛みおよび異常感覚について,その発生頻度・機序を整理するとともに,理学療法で行うべき評価,治療に関する現状について概説する.

不全型脊髄損傷者の在宅生活支援

著者: 肥塚二美子

ページ範囲:P.221 - P.230

はじめに

 近年,脊髄損傷者のリハビリテーション(以下,リハビリ)は,急性期,回復期といった機能分化や入院期間の大幅な短縮化により,効率性が求められている.不全型脊髄損傷(以下,不全損傷)も例外ではなく,早期退院に向けて,機能回復,ADL(activities of daily living)練習を中心にトレーニングが行われ,家屋環境の調整や介護方法の指導も重要なポイントとなる.

 しかし,脊髄損傷者は,急性期に合併症や全身状態の不良などで安静を強いられることがあり,心理的にも混乱状態が続き,入院期間中に積極的なリハビリを行うことが困難な場合がある.また,入院期間中のリハビリに対して不満感を抱き,「リハビリ途中で退院を余儀なくされた」と感じている場合や,退院後に痙縮や疼痛,しびれといった機能面の問題があるにもかかわらず,外来リハビリや在宅リハビリ(訪問リハビリ)を行っていないケースも多い.そういう意味では,退院後は維持期というよりも未だ回復期であるとも考えられ,機能,環境,心理面をも含めた包括的な援助を行っていく必要がある.

 筆者の勤務する関谷クリニックは,大阪府の中ほどにある八尾市に位置し,リハビリ科,整形外科,リウマチ科を有している.リハビリスタッフは,理学療法士9名,作業療法士3名,言語療法士2名の体制で,介護保険,医療保険での外来および在宅リハビリを行っている.対象疾患は脳卒中が最も多いが,現在,約1割は脊髄損傷者であり,そのうち3割が不全損傷である.在宅リハビリは,八尾市を中心に,東大阪市,大阪市,堺市などの近隣地域で行っている.

とびら

センス・オブ・ワンダー

著者: 佐藤秀一

ページ範囲:P.183 - P.183

 「感性を磨く」という言葉をよく耳にします.最近では,福祉工学に関連して感性工学,感性評価,感性価値,感性ロボット,感性教育,感性ビジネス,感性マーケティングなどの新語も現れています.

 ものづくり,とりわけ福祉機器開発では,運動解析で取得される関節モーメントなどの物理量を評価指標とした身体の力学的負担度の計測に加えて,感性評価を併用する手法が用いられています.代表的な官能検査の特性評価手法には,SD法(semantic differential method)があります.例えば,高齢者にとって身体の力学的負担度が少なく,物理的に起立動作が容易な椅子を開発したとします.しかし,使用者にとっては必ずしも心理的に負担感が少なく,快適で容易な起立動作が遂行できていないということがよくあります.そこで,物理計測のみならず,使い勝手や使用感などの心理計測による感性評価が重要視されているのです.階段昇降では,昇りのほうが位置エネルギーが増加する分,仕事を強いられるため,力学的にはきついはずです.しかし,感覚的には降りる時のほうがきつい動作に感じるということをよく経験します.昇る時,下肢の抗重力筋群は求心性収縮を,降りる時は遠心性収縮を呈します.つまり,力学的エネルギーと生理学的エネルギーでは異なる感覚をもたらすことを意味します.

1ページ講座 理学療法関連用語~正しい意味がわかりますか?

SF-36

著者: 井上佳和

ページ範囲:P.231 - P.231

 SF-361)(MOS 36-Item Short-Form Health Survey)とは,健康関連QOL(quality of life)を測定するための尺度であり,その特徴は,包括的尺度を用いたものであること,国民標準値が設定されていること,国際的に普及している健康関連QOL尺度であること,が挙げられる.

 健康関連QOLの評価法は,大まかに包括的尺度と疾患特異的尺度とに分けられる.包括的尺度とは,対象者の状態を問わず包括的にQOLを計る尺度のことである.SF-36が包括的尺度であることで,異なる疾病患者間での比較や,健康といわれる方々の健康関連QOLの測定と比較が可能となっている.

理学療法関連認定資格紹介

健康運動指導士について

著者: 石井荘一

ページ範囲:P.274 - P.274

●健康運動指導士養成制度の創設経緯

 わが国の健康づくり対策は,1978年から始まった「第一次国民健康づくり対策」において,栄養・運動・休養といった3要素を取り入れた生涯を通じた健康づくりを推進したことが最初である.1988年からは,「第二次国民健康づくり対策」に引き継がれ,「一次予防」を重視した取り組みの中で,健康増進認定施設の推進とともに健康運動指導士は生まれた.少子・超高齢社会を目前にし,健康で活力ある社会にしていくためには,病気の早期発見や治療だけではなく,健康を増進し,生活の質を高めることが重要と考えられたからである.

 1987年8月の公衆衛生審議会の答申でも,運動不足が引き起こす様々な疾患の発病を運動によって予防しようという方向性が示され,厚生省は1988年1月に健康づくりのための運動指導者の知識,技能の向上を図るため,「健康づくりのための運動指導者の知識及び技能の審査・証明事業の認定に関する規程」を告示し,財団法人健康・体力づくり事業財団(以下,当財団)が健康運動指導士の養成を開始することとなった.

プラクティカル・メモ

可撓性プラスチックキャストによる簡易装具の作製経験―高度な足部変形に対する起立練習用として

著者: 平山史朗 ,   宮本忠司 ,   山﨑裕子 ,   井手昇 ,   渡邉英夫

ページ範囲:P.232 - P.233

 下肢装具は早期の起立,歩行練習の際に重要であるが,治療現場で装具が必要だと判断したら,すぐに装着できることが望ましい1).今回,両側の足関節と足部に高度な変形を来し,起立が不可能であった症例に,可撓性プラスチックキャストを用いて即席下肢装具を作製し,理学療法に役立てたので報告する.

 なお,症例提示にあたり,患者本人および家族には掲載に関する同意を得ている.

全国勉強会紹介

Synergy

著者: 田中創

ページ範囲:P.234 - P.234

活動について
①目的と勉強・研修内容

 近年,理学療法領域,関連領域を取り巻く情報量は急激に増加し,研修会参加やWebなどにより情報が入手しやすくなりました.しかしそれらの情報をまとめ,診療に還元することは容易なことではありません.当会では,局所の病態把握・治療,効果検証,姿勢・動作分析に至るプロセスを各々が討議する場として,月1回の症例検討会を行い,各メンバーが得られた新たな視点・解釈を診療に生かすことをスローガンに掲げています.

入門講座 トランスファー技術・3

在宅障害者のトランスファー技術

著者: 松葉貴司

ページ範囲:P.235 - P.247

はじめに

 移乗動作は,生活におけるADL(activities of daily living)の拡大やQOL(quality of life)を高める上で重要な動作であり,できるだけ安全かつ効率的な方法で行う必要がある.

 医療現場においては,移乗という動作を通じて身体機能を最大限に引き出すための治療的な介入が行われ,理学療法の進行に合わせてその目標がADL能力の獲得に移行する.一方,在宅生活における移乗動作は,目的とする生活行為に至る過程として行われ,より効率的な方法が優先されることが多い.

 移乗動作に限らず,在宅におけるADL動作の指導は,原則をそのまま適用するのではなく,環境や介助者などの条件に応じて微調整することで功を奏する場合があり,これは,まさに在宅における動作指導の醍醐味ともいえる.本稿では,在宅生活における移乗動作の指導・環境調整などを行う際の留意点について,Q & A形式で述べる.

講座 医療機器の活用と安全管理・3

ベッドサイドモニターの進歩と活用法

著者: 横山仁志 ,   渡邉陽介

ページ範囲:P.249 - P.257

はじめに

 リハビリテーション医療は疾病や障害の経過に沿って急性期,回復期,維持期に分けられる.近年では,各疾患のガイドラインや診療指針において,急性期からの可及的速やかなリハビリテーション介入の重要性が提唱されている.そのような背景のなかで,超急性期,急性期対応施設における理学療法士は,ICU(intensive care unit),SCU(stroke care unit),CCU(cardiac care unit)といった専門ケアユニットでの介入が期待されている.しかし,この時期の患者の基礎病態や全身状態は不安定であり,理学療法士の介入の仕方によっては,それらを増悪させる懸念もある.そのため理学療法士は,患者に装着されている医療機器が患者の何をモニタリングしているものか,それによって示される数値や情報が何を意味するのかを理解し,患者の病態・リスク管理をしながら理学療法を進めることが望ましい.

 本稿では,急性期の患者に装着されることの多い各種のベッドサイドモニターの基本とその解釈法について,最近の知見を交えながら概説する.

臨床実習サブノート 知っておきたい理学療法評価のポイント・9

末梢神経麻痺(上肢)患者を担当した時

著者: 島岡秀奉

ページ範囲:P.261 - P.268

はじめに

 末梢神経麻痺(上肢)は,運動麻痺や感覚障害に限らず,自律神経障害や慢性疼痛など,その症状は多彩であり,対応に難渋する症例も多い.また,発症年齢も原因の違いによって幅広く,心理的,社会的な問題を抱えている者も少なくない.

 末梢神経麻痺の原因は代謝障害,栄養障害,中毒,外傷,絞扼など様々であり(表1),原疾患の状況を踏まえた理学療法を展開する必要がある.また,両上肢麻痺,腕神経叢麻痺のような一側の単麻痺,上肢の単関節の麻痺など発症部位も多彩である.

 そのため,理学療法評価は定期的な機能評価を主体とし,能力評価は個々の状態とその時期に合わせ,残存能力の利用と麻痺肢の管理,そして代償動作を考慮しつつ実施しなくてはならない.つまり,機能障害をできる限り定量的かつ速やかに評価し,その変容を捉えることが求められる.

 本稿では,筆者のこれまでの経験から,末梢神経麻痺(上肢)に対する理学療法評価のポイントを整理し,解説する.

なぜ学ぶのか・11

物理学(力学)―間違った理学療法をしないために

著者: 江原義弘

ページ範囲:P.269 - P.271

 理学療法学科の学生が必ずマスターする必要があるのは,物理学の中でも力学である.力学を正しく活用できなければ,対象者に間違った理学療法練習をさせてしまうからである.

 実例を提示する.図1の状態の時,テコを平行に保つためには力点に何kgの力が必要になるだろうか.これは小学校5年生で習う問題である.支点から重りまでが2m,支点から力点までが3mなので,必要な力は重りの3分の2となる.すなわち,40kgが正解である.これは誰でもわかるだろう.

報告

脳卒中者における「退院時ADL」と「退院6か月後ADL」の差に関しての研究―回復期リハビリテーション病棟退院6か月後の調査

著者: 荒尾雅文 ,   横森亜美香 ,   中島由美恵 ,   大淵康裕 ,   渡辺要一 ,   今村安秀

ページ範囲:P.275 - P.280

要旨:本研究の目的は,回復期リハビリテーション病棟(以下,回復期リハビリ病棟)から自宅へ退院した脳卒中者の退院時ADLの6か月後を調査し,問題点を明らかにすることである.入院時に対象者の属性,Functional Independence Measure(以下,FIM)を担当療法士が評価し,退院後評価は退院6か月後に郵送法にて行った.分析方法は,退院時と退院後のFIMを比較することで行った.結果は,83名中40名(回収率48.2%)の調査票が回収でき,全体のFIM運動項目平均値において得点が維持できていた(退院時77.6点,退院後78.6点).また,退院時の主な移動手段が車いすで退院した症例のうち,退院後の移動手段が歩行に変更されていた症例は16/18名(84%)であった.変更した群は変更しない群と比較し,転倒が多く,介護負担が有意に大きかった.この結果から,回復期リハビリ病棟退院後の移動手段の変化による転倒発生の抑制と,家族の介護負担感改善を図るリハビリの必要性が示唆された.

書評

―丸山仁司,他(常任編集)/石黒友康・高橋哲也(ゲスト編集)―「考える理学療法 内部障害編 評価から治療手技の選択」

著者: 内田賢一

ページ範囲:P.258 - P.258

 呼吸器疾患や循環器疾患の患者を目の前にした際,「ちょっと体を動かすだけで息切れが生じてくるのに,本当に運動を行ってもよいのだろうか」とか,「昨日心臓の手術をしたばかりなのに,本当に今日から動いても大丈夫なのだろうか」など,戸惑いと不安の中で理学療法を行っている新人理学療法士の方も多いのではないだろうか.内部障害は,骨関節障害や中枢神経障害などのような目で見てわかる身体の動きの障害としてはとらえにくいため,難しいとの先入観を持たれているような気もするが,本書は内部障害の患者を担当した際の「なぜだろう?」,「どうして?」,「平気だろうか?」といった日々のちょっとした疑問を解き明かすのに,大きな力を貸してくれるものと確信する.

 たとえば,慢性閉塞性肺疾患の患者に対する理学療法を行う際には,運動負荷量の増減に呼応する呼吸困難感や心拍数,血圧,息づかいや顔色,表情などに随時注意を払わなければならない.つまり,内部障害の患者に対する理学療法の特徴は,リスク管理と運動耐容能の改善を同時進行で行っていくことである.急速に高齢社会となったわが国では,今後内部障害を有する患者が多くなることが予想される.

―黒川幸雄,他(シリーズ編集)/井上 保・鶴見隆正(責任編集)―「理学療法MOOK15子どもの理学療法」

著者: 山本博子

ページ範囲:P.272 - P.272

 障がいを持った子どものリハビリテーションは,高木憲次博士の提唱するいわゆる療育思想をベースに,その時々の社会的影響を受けながら繰り広げられてきた.「療育」とは,本書に述べられているとおり治療と育成(教育)を意味するが,その「療」の部分において主体的に関わる理学療法士の方向性や役割もその時代のニーズに応えながら変化してきた.

 今日においては,国際障害分類(ICIDH)から国際生活機能分類(ICF)へのパラダイムの移行に伴う視点の転換,また地域療育体制の整備による入所施設療育から在宅通所療育への転換などといった時代の流れのなか,子どものリハビリテーションにおいてもこれまでの障害・疾病モデルではなく,生活モデルを基盤とした理学療法の介入がさらに強く求められるようになってきた.理学療法士は,子どもがどのような環境のもと生活しているのか,その子どもや家族が今なにを必要としているのかを考え,理学療法を組み立てていくことが必要である.そして,子ども本人の能力を改善するとともに,周辺課題の解決と環境の調整を図りながら,子どもの生活に密着した理学療法を実践していかなければならない.そのためには,子どもに関する確かな知識や技術はもとより,地域社会のなかで障がいを持つ子どもを支援する療育の考え方やシステムを理解しておくことも必要となる.

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文献抄録

ページ範囲:P.281 - P.283

編集後記

著者: 永冨史子

ページ範囲:P.286 - P.286

 地球温暖化が話題となった昨年,暑かった夏は「これが温暖化の影響か」と日常の話題になりました.数か月後,それに反して寒い冬がやってきたのに,世界的な経済の冷え込みが天気以上に危機的な印象を与え,基本的人権で保障されているはずの生活とは何か,どんな援助が誰によってどうなされるのか,の情報が交錯し混乱しています.

 さて,今月号の特集は「不全型脊髄損傷」です.重症度と症状が多種多様であるために,治療目標の設定や本人の受け入れが難しい疾患で,痛みやしびれなどの不快な異常感覚に起因する愁訴や心理状態への対応にも難渋します.

基本情報

理学療法ジャーナル

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN 1882-1359

印刷版ISSN 0915-0552

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