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文献詳細

雑誌文献

理学療法ジャーナル43巻3号

2009年03月発行

文献概要

特集 不全型脊髄損傷の病態と理学療法

不全型脊髄損傷者の在宅生活支援

著者: 肥塚二美子1

所属機関: 1関谷クリニック

ページ範囲:P.221 - P.230

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はじめに

 近年,脊髄損傷者のリハビリテーション(以下,リハビリ)は,急性期,回復期といった機能分化や入院期間の大幅な短縮化により,効率性が求められている.不全型脊髄損傷(以下,不全損傷)も例外ではなく,早期退院に向けて,機能回復,ADL(activities of daily living)練習を中心にトレーニングが行われ,家屋環境の調整や介護方法の指導も重要なポイントとなる.

 しかし,脊髄損傷者は,急性期に合併症や全身状態の不良などで安静を強いられることがあり,心理的にも混乱状態が続き,入院期間中に積極的なリハビリを行うことが困難な場合がある.また,入院期間中のリハビリに対して不満感を抱き,「リハビリ途中で退院を余儀なくされた」と感じている場合や,退院後に痙縮や疼痛,しびれといった機能面の問題があるにもかかわらず,外来リハビリや在宅リハビリ(訪問リハビリ)を行っていないケースも多い.そういう意味では,退院後は維持期というよりも未だ回復期であるとも考えられ,機能,環境,心理面をも含めた包括的な援助を行っていく必要がある.

 筆者の勤務する関谷クリニックは,大阪府の中ほどにある八尾市に位置し,リハビリ科,整形外科,リウマチ科を有している.リハビリスタッフは,理学療法士9名,作業療法士3名,言語療法士2名の体制で,介護保険,医療保険での外来および在宅リハビリを行っている.対象疾患は脳卒中が最も多いが,現在,約1割は脊髄損傷者であり,そのうち3割が不全損傷である.在宅リハビリは,八尾市を中心に,東大阪市,大阪市,堺市などの近隣地域で行っている.

参考文献

1)安藤徳彦,他:高齢脊椎脊髄疾患患者の移動能力確保に関する研究.厚生省平成9年度長寿科学総合研究報告書 6:181-185,1998
2)大橋正洋,他:不全頸髄損傷の病態と障害評価について.PTジャーナル 23:80-85,1989
 
1)岩崎 洋(編):脊髄損傷理学療法マニュアル,文光堂,2006

掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1882-1359

印刷版ISSN:0915-0552

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