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文献詳細

雑誌文献

理学療法ジャーナル43巻3号

2009年03月発行

文献概要

報告

脳卒中者における「退院時ADL」と「退院6か月後ADL」の差に関しての研究―回復期リハビリテーション病棟退院6か月後の調査

著者: 荒尾雅文1 横森亜美香2 中島由美恵2 大淵康裕2 渡辺要一2 今村安秀3

所属機関: 1永生会訪問看護ステーションとんぼ 2永生病院リハビリテーション部 3南多摩地域リハビリ支援センター

ページ範囲:P.275 - P.280

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要旨:本研究の目的は,回復期リハビリテーション病棟(以下,回復期リハビリ病棟)から自宅へ退院した脳卒中者の退院時ADLの6か月後を調査し,問題点を明らかにすることである.入院時に対象者の属性,Functional Independence Measure(以下,FIM)を担当療法士が評価し,退院後評価は退院6か月後に郵送法にて行った.分析方法は,退院時と退院後のFIMを比較することで行った.結果は,83名中40名(回収率48.2%)の調査票が回収でき,全体のFIM運動項目平均値において得点が維持できていた(退院時77.6点,退院後78.6点).また,退院時の主な移動手段が車いすで退院した症例のうち,退院後の移動手段が歩行に変更されていた症例は16/18名(84%)であった.変更した群は変更しない群と比較し,転倒が多く,介護負担が有意に大きかった.この結果から,回復期リハビリ病棟退院後の移動手段の変化による転倒発生の抑制と,家族の介護負担感改善を図るリハビリの必要性が示唆された.

参考文献

1)潮見泰藏:脳傷害後の機能回復と運動学習.理学療法科学 21:87-91,2006
2)眞野行生(編):高齢者の転倒とその対策,医歯薬出版,2003
3)中村隆一,他:退院後の機能的評価.中村隆一,他(編):脳卒中の機能評価と予後予測,第2版,pp71-85,医歯薬出版,1997
4)深谷安子,他:在宅片麻痺老人患者のADL変化に関する要因の分析.日本看護科学会誌 11:44-54,1991
5)大田哲生,他:質問紙によるFIM(Functional Independence Measure)評価の試み.総合リハ 25:449-454,1997
6)Arai Y:Reliability and validity of the Japanese version of the Zarit Caregiver Burden Interview. Psychiatry Clin Neurosci 51:281-287, 1998
7)全国回復期リハビリテーション病棟連絡協議会:回復期リハビリテーション病棟の現状と課題に関する調査報告書,2007
8)Forster A, et al:Information provision for stroke patients and their caregivers(Cochrane review), the Cochrane Library Issue 1, Oxford, Update Software, 2003
9)辛島美佳,他:回復期リハビリテーション病棟におけるADLへの取り組み.PTジャーナル 39:399-405,2005
10)才藤栄一,他(編):FITプログラム―統合的高密度リハビリ病棟の実現に向けて,医学書院,2003

掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1882-1359

印刷版ISSN:0915-0552

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