文献詳細
文献概要
とびら
人と向き合うということ
著者: 備酒伸彦1
所属機関: 1神戸学院大学
ページ範囲:P.287 - P.287
文献購入ページに移動 私は,月に2,3度のペースで裁判の傍聴に出かける.気になる審理や判決がある時は,その都度出かけていく.人の織りなす事件の真実を認定し,量刑を決める裁判に触れる度に,色々なことを考えさせられる.
時には,聴いているこちらが仰天してしまうような被告人もいる.人の財布がまさか勝手に自分のポケットには入らないと思うが,大まじめで魔術師も顔負けの供述を続ける人.暴行罪で執行猶予付きの判決が出た途端「あいつが先に殴ったからじゃ,まずあいつを死刑にせい」と裁判官に悪態の限りを尽くす人.実刑判決を受けて退廷する時に,若い検事に向かって「この小娘がぁ」と怒鳴り散らす刑務所生活通算45年のベテラン.
時には,聴いているこちらが仰天してしまうような被告人もいる.人の財布がまさか勝手に自分のポケットには入らないと思うが,大まじめで魔術師も顔負けの供述を続ける人.暴行罪で執行猶予付きの判決が出た途端「あいつが先に殴ったからじゃ,まずあいつを死刑にせい」と裁判官に悪態の限りを尽くす人.実刑判決を受けて退廷する時に,若い検事に向かって「この小娘がぁ」と怒鳴り散らす刑務所生活通算45年のベテラン.
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