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雑誌文献

理学療法ジャーナル43巻4号

2009年04月発行

文献概要

報告

回復期リハビリテーション病院入院時のFIM総得点が80点未満の脳卒中患者における転帰の予測

著者: 池田真琴1 桑田稔丈1 徳永誠2 三宮克彦1 中島雪彦3 渡邊進2 橋本洋一郎4 辻哲也5 中西亮二2 山永裕明2

所属機関: 1熊本機能病院理学療法課 2熊本機能病院リハビリテーション科 3熊本機能病院作業療法課 4熊本市立熊本市民病院神経内科 5慶應義塾大学医学部リハビリテーション医学教室

ページ範囲:P.355 - P.360

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要旨:[目的]脳卒中患者で入院時の機能的自立度評価法(functional independence measure:FIM)総得点が18~79点,80~109点,110~126点の場合で分けた3種類のクリティカルパス(パス)を1年間運用した結果,18~79点の群では自宅退院率が34%と低かった.そこで,入院時FIM総得点が18~79点の群の転帰ごとの臨床像を明らかにし,転帰を予測することを目的とした.[対象・方法]入院時FIM総得点が18~79点の脳卒中患者115例を対象とした.自宅退院群(45例)と非自宅退院群(70例)の臨床像を比較し,入院時FIM総得点と入院時FIMの運動項目の合計点(運動FIM)によって転帰を予測した.[結果]2群間で,入院日数,入院時FIM総得点,運動FIM,セルフケア,排泄コントロール,移乗,移動で有意差を認めた.入院時FIM総得点が18~79点の患者を転帰によって2つに分ける場合,入院時FIM総得点45点で分けると感度は84%,特異度は59%,運動FIM32点で分けると感度は78%,特異度は76%であった.[結語]本研究結果は,脳卒中患者の入院日数をもとに3群に分けたこれまでのパスを,転帰を反映した4群のパスへ修正する際に有用である.

参考文献

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掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1882-1359

印刷版ISSN:0915-0552

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