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文献詳細

雑誌文献

理学療法ジャーナル43巻9号

2009年09月発行

文献概要

特集 膝関節疾患の理学療法

人工膝関節全置換術の理学療法と運動機能回復

著者: 木賀洋1

所属機関: 1医療法人葦の会石井クリニックリハビリテーション科

ページ範囲:P.775 - P.781

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はじめに

 人工膝関節全置換術(total knee arthroplasty:以下,TKA)は国内でも年間5万例が行われ,決して特別な手術ではなくなっている.また,在院日数の短縮化(早期退院),診療報酬の算定日数制限など医療・介護保険制度の変革,高齢化社会の進展に伴う膝機能の改善に関するニーズの変化などにより,評価や後療法も変化している.

 これらのことから,手術やリハビリテーション(以下,リハビリ)を含めた治療効果について客観的に捉えること,そして,退院後も含めたADL(activities of daily living)・QOL(quality of life)の維持,向上に対し,どのようなアプローチを行うかが重要な課題となっている.術後評価については,ルーズニング(骨とインプラントの間の弛み)などの人工関節とその支持性に関する報告,手術の目的である疼痛や関節可動域の改善に関する報告,それらに深く関わる軟部組織の評価に関する報告も増えてきている.そこで,本稿では,当院におけるTKA患者の周術期の評価や後療法,術後ADL・QOLの向上に対する取り組みについて述べる.

参考文献

1)石井 亮:膝は耐えられるか?―セメントレス人工膝関節置換術の免荷期間―.奈良 勲(編):理学療法のとらえかた Clinical Reasoning PART2,pp171-181,文光堂,2003
2)松田芳和,石井義則:高度内反変形膝に対するTKA.岩本幸英(編):OS NOW Instruction No. 5人工膝関節置換術 適切なアライメントとバランス獲得をめざして,pp57-70,メジカルビュー社,2008
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6)石井 亮,他:人工膝関節置換術における術中獲得可動域と退院時との比較検討―PCLの影響を中心に―.埼玉理学療法 12:11-14,2005
7)坂下 大,他:人工膝関節全置換術後の矢状面におけるLaxityと獲得可動域の関係―後十字靱帯温存型・切除型による比較―.第27回関東甲信越ブロック理学療法士学会誌:57,2008
8)Ishii Y, et al:Changes in bone mineral density of the proximal femur after total knee arthroplasty. J Arthroplasty 15:519-522, 2000
9)Ishii Y, et al:Effect of total knee arthroplasty on patients' bone quality-ultrasound measurement of the calcaneus. Knee 11:293-295, 2004

掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1882-1359

印刷版ISSN:0915-0552

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