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文献概要
特集 これからの理学療法
理学療法の効果判定に適切な具体的指標は―運動器
著者: 福井勉1
所属機関: 1文京学院大学
ページ範囲:P.46 - P.46
文献購入ページに移動●運動器に対する評価指標の現状と課題
関節可動域テストと徒手筋力検査法は,特に運動器疾患における指標として長期間使用され続けてきた.また,現在の国家試験問題にも多く採用されており,講義や実習にもかなりの時間をかけている養成校が多い.しかしながら,臨床現場でこれらの評価を運動器疾患に対する理学療法の中心に据えて考えている施設は,カリキュラムにおける重要度と比較するとそれほど多くないであろう.臨床上,これらの個別評価を統合する上位概念として,今後は姿勢や動作の統一的評価を目指す必要があると筆者は考える.筋力低下に対しては筋力強化運動,関節可動域低下に対しては関節可動域運動という一面性を脱却するためには,他の評価項目との因果関係を追求しなくてはならない.しかし,その因果関係の構築を個人で行うのは限界があるのではないだろうか.
なぜ関節可動域テストや徒手筋力検査法がいまだに受け継がれているかというと,誰でも(学生でも)一定の範囲で客観評価が可能であるということが最も大きな理由であろう.それらを統合する姿勢・動作分析の統一見解をつくるべき時期にきたのである.統一見解をつくる必要性は以前から指摘され続け,そのような試みは何回か行われてきたが,現状ではその枠組みの浸透性は不明確である.個人のレベルで自分の仕事の質を高める努力を惜しまない人が増えてきたことは喜ばしいが,現状ではそれに加えてさらなる組織力が要求されているように感じる.一方で,そういった社会的コンセンサスがないままでは,たとえ治療技術が優れていても,「根拠を示せない」ことを理由に排除される現状もある.筆者のみる範囲内では,いまだに20年前と同じような理学療法をしている情報流通が極端に少ない医療機関がある一方で,向上心に溢れる人たちの自主的な勉強会が全国で着実に活動範囲を広げている.この局面的な圧力が今後の打開策となり得るように思う.
関節可動域テストと徒手筋力検査法は,特に運動器疾患における指標として長期間使用され続けてきた.また,現在の国家試験問題にも多く採用されており,講義や実習にもかなりの時間をかけている養成校が多い.しかしながら,臨床現場でこれらの評価を運動器疾患に対する理学療法の中心に据えて考えている施設は,カリキュラムにおける重要度と比較するとそれほど多くないであろう.臨床上,これらの個別評価を統合する上位概念として,今後は姿勢や動作の統一的評価を目指す必要があると筆者は考える.筋力低下に対しては筋力強化運動,関節可動域低下に対しては関節可動域運動という一面性を脱却するためには,他の評価項目との因果関係を追求しなくてはならない.しかし,その因果関係の構築を個人で行うのは限界があるのではないだろうか.
なぜ関節可動域テストや徒手筋力検査法がいまだに受け継がれているかというと,誰でも(学生でも)一定の範囲で客観評価が可能であるということが最も大きな理由であろう.それらを統合する姿勢・動作分析の統一見解をつくるべき時期にきたのである.統一見解をつくる必要性は以前から指摘され続け,そのような試みは何回か行われてきたが,現状ではその枠組みの浸透性は不明確である.個人のレベルで自分の仕事の質を高める努力を惜しまない人が増えてきたことは喜ばしいが,現状ではそれに加えてさらなる組織力が要求されているように感じる.一方で,そういった社会的コンセンサスがないままでは,たとえ治療技術が優れていても,「根拠を示せない」ことを理由に排除される現状もある.筆者のみる範囲内では,いまだに20年前と同じような理学療法をしている情報流通が極端に少ない医療機関がある一方で,向上心に溢れる人たちの自主的な勉強会が全国で着実に活動範囲を広げている.この局面的な圧力が今後の打開策となり得るように思う.
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