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文献詳細

雑誌文献

理学療法ジャーナル44巻1号

2010年01月発行

文献概要

特集 これからの理学療法

理学療法の効果判定に適切な具体的指標は―健康増進

著者: 大工谷新一1

所属機関: 1岸和田盈進会病院

ページ範囲:P.50 - P.50

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 健康増進を目的とした理学療法には,体力評価や運動処方,およびそれらの結果に基づいた運動指導を行う直接的理学療法と,健康教育や運動の啓発,およびライフスタイル改善や運動実施を目的とした指導などを行う間接的理学療法がある.

 直接的理学療法の効果を判定する指標としては,厚生労働省による「健康づくりのための運動基準2006」1)に記載されているメッツ(METs)や最大酸素摂取量(表),筋力などがある.また,「健康づくりのための運動指針2006」2)では身体活動を評価するための指標として,体重やBMI,体脂肪率,除脂肪体重,胴囲(腹囲)を挙げている.同様に血液検査結果(総コレステロール,HDL-コレステロール,中性脂肪,血糖値,血色素量,赤血球数,白血球数)も有用な指標としており,そのほかに体力の指標として筋力(握力),静的バランス能力(開眼と閉眼での片脚立位保持時間),動的バランス能力(functional reach test),総合的な移動能力(timed“up & go”test),歩行能力(10m歩行速度),柔軟性(長座位体前屈,立位体前屈)が挙げられている.筆者らの研究3)でも,中高年者に対する運動実施により,体重や中性脂肪,血糖値,最高血圧の低下とHDL-コレステロールの増加が確認できている.

参考文献

1)厚生労働省:健康づくりのための運動基準2006~身体活動・運動・体力~報告書,運動所要量・運動指針の策定検討会,2006年7月
2)厚生労働省:健康づくりのための運動指針2006~生活習慣病予防のために~(エクササイズガイド2006),運動所要量・運動指針の策定検討会,2006年7月
3)熊崎大輔,他:医療法42条施設における運動効果の検証―血液検査数値の変化に着目して―.体力科学 56:776,2007
4)Dishman R, et al:Self-motivation and adherence to therapeutic exercise. J Behav Med 4:421-438, 1981
5)Bandura A:Self-efficacy:toward a unifying theory of behavioral change. Psychol Rev 84:191-215, 1977
6)Bandura A:Self-efficacy mechanism in human agency. Am Psychol 87:122-147, 1982
7)岡 浩一朗:中年者における運動行動の変容段階と運動セルフ・エフィカシーの関係.日本公衛誌 50:208-215,2003
8)竹中晃二,他:身体活動・運動関連研究におけるセルフエフィカシー測定尺度.体育学研究 47:209-229,2002
9)芳賀 博,他:農村における老人の活動的自立の維持とライフスタイルとの関連.民族衛生 67:68-76,2001
10)Prochaska JO, et al:The transtheoretical model:application to exercise. Dishman RK(ed):Advances in exercise adherence, pp161-180, Human Kinetics, Champaign, IL, 1994
11)大工谷新一,他:中高年者の運動アドヒアランスに影響する因子に関する研究―民間フィットネスクラブ1施設における検討―.理学療法学 30:48-54,2003

掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1882-1359

印刷版ISSN:0915-0552

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