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文献詳細

雑誌文献

理学療法ジャーナル44巻1号

2010年01月発行

文献概要

講座 理学療法(士)と倫理・1【新連載】

倫理とは何か―関係性が支える倫理感覚

著者: 田中智志12

所属機関: 1山梨学院大学大学院 2山梨学院大学附属小学校

ページ範囲:P.69 - P.74

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はじめに

 「倫理」は,道徳規範と同一視されることが多いが,時に道徳規範からずれる衝迫的な感覚でもある.この感覚としての倫理(倫理感覚)は,心情的な関係性によって喚起され,合理性や道徳規範によって妨げられるが,そうした合理性や道徳規範を退けるくらいの敢然性を秘めている.その意味で倫理感覚は,予想ではなく,希望につらなる.予想は技術的合理性を前提にするが,希望は技術的合理性を超越するからである.この希望が,人が欠点,疾病,障害をかかえながらも幸福に生きるための礎となる.そして,この希望を創りだすものが,無条件の愛(存在論的関係性)を基調とする家族であり,それを拡げるのが,人が人を支え,かけがえのない一命を畏れ敬う共生社会である.

参考文献

1)Derrida J:Apprendre à vivre enfin:Entretien avec Jean Birnbaum, p30, p55, Galilée, Paris, 2005
2)田中智志:臨床哲学がわかる事典,pp 20-21, 日本実業出版社,2005

掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1882-1359

印刷版ISSN:0915-0552

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