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文献詳細

雑誌文献

理学療法ジャーナル44巻11号

2010年11月発行

文献概要

入門講座 薬と理学療法・5

回復期脳卒中患者の薬と理学療法

著者: 伊豆藏英明12 水谷一裕2 坂井泰3 貫井勇介4 岩渕聡1

所属機関: 1東邦大学医療センター大橋病院脳神経外科 2東邦大学医療センター大橋病院リハビリテーション科 3文京学院大学保健医療技術学部 4東邦大学医療センター大橋病院リハビリテーション部

ページ範囲:P.995 - P.1002

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はじめに

 病床の機能分化に伴い,回復期リハビリテーション(以下,リハ)病棟が創設された.能動的で多彩なリハの提供により,患者の機能回復,日常生活動作(ADL)向上,在宅復帰に大いに貢献している.

 この回復期リハ病棟において,脳卒中は重要な疾患のひとつである.近年,整形外科疾患の比率が増加しているが,脳卒中は入院原因の49.6%を占め1),依然として回復期リハに対するニーズは高い.

 また,早期からのリハ介入による機能予後の改善,急性期病院の入院期間短縮化に伴い,発症から回復期病棟への転院期間も短縮する傾向にある(2002年:40.0日→2009年:31.2日)1).これにより,脳卒中発症から間がなく,全身状態の不安定な患者の適切な管理が回復期リハ病棟にも求められる.バイタルサインチェック,身体所見の観察などはもとより,基礎疾患をもつ患者に対しては適切な薬剤による治療が必要となる.さらに,リハの阻害因子除去のために薬剤が用いられることもある.

 回復期リハ病棟はチームアプローチが最も求められる病棟であり,薬剤に関する情報は医師,看護師,薬剤師のみならず,療法士を含めた全職種が共有する必要がある.脳卒中の再発,リハにかかわる危険因子を把握し,全身状態の管理を行い,より安全で円滑な治療方針を立てるためには,脳卒中の病態・治療に関する十分な理解が不可欠である.

 脳卒中患者の病棟管理に必要な薬剤は,主に,①再発予防,併存疾患の治療と全身管理のために用いる薬剤,②リハを安全,円滑に進めるために用いる薬剤に大きく分けられる.

 本稿では,回復期病棟で脳卒中患者によく用いられるこれらの薬剤について概説する.

参考文献

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2)日本高血圧学会高血圧治療ガイドライン作成委員会(編):高血圧治療ガイドライン2009,ライフサイエンス出版,2009
3)日本脳卒中治療ガイドライン委員会(編):脳卒中治療ガイドライン2009,協和企画,2009
4)日本糖尿病学会(編):糖尿病治療ガイド2008-2009,文光堂,2008
5)日本動脈硬化学会(編):動脈硬化性疾患予防ガイドライン2007年版,協和企画,2007
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7)大木弘行:脳卒中にみられる痙攣とその対策.福井圀彦,他(編):脳卒中最前線,第4版,pp412-415,医歯薬出版,2009
8)前島伸一郎:てんかん.浅山 滉,他(編):臨床リハ別冊・脳卒中リハビリテーション外来診療,p135,医歯薬出版,1997
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10)Hackett ML, et al:Frequency of depression after stroke:a systematic review of observational studies. Stroke 36:1330-1340, 2005
11)藤井健司,他:筋骨格系の薬剤.総合リハ 34:1069-1074,2006
12)Brittain KR, et al:Stroke and incontinence. Stroke 29:524-528, 1998
13)平野照之:各疾患における神経因性膀胱―脳卒中.総合リハ 37:1011-1015,2009
14)國弘真己:便秘症診断のためのフローチャート.診断と治療 89:409-412,2001

掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1882-1359

印刷版ISSN:0915-0552

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