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文献詳細

雑誌文献

理学療法ジャーナル44巻12号

2010年12月発行

文献概要

特集 股関節疾患の理学療法―update

大腿骨頭壊死症に対する関節温存術後の理学療法効果

著者: 石原瞳1 大野範夫2 及川雄司1 渥美敬3 玉置聡3

所属機関: 1昭和大学藤が丘病院リハビリテーション部 2昭和大学藤が丘リハビリテーション病院リハビリテーション部 3昭和大学藤が丘病院整形外科

ページ範囲:P.1057 - P.1064

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はじめに1~3)

 特発性大腿骨頭壊死症(idiopatic osteonecrosis of the femoral head:ION)は,日本で年間2,000人程度の人が新たに罹患している疾患で,発症年齢が30~40歳代と青壮年期に多く,厚生労働省で特定疾患に指定されている難病である.病因や病態,治療についての研究が活発に行われてきているが,壊死発症の予防法がいまだなく,増加傾向にある重篤な疾患である.また,10歳代や20歳代の発症も少なくなく,若年者に対する関節温存治療は重要であるといわれている.本疾患に対し当院では,関節が温存できる有効な治療法として,大腿骨頭回転骨切り術を年間約30~40例施行している.理学療法士として本疾患の術前後の理学療法(以下,PT)を担当していると,術式や疾患の特徴から,可動域制限や疼痛などに傾向を認めることがある.本手術の最大の目的は,骨頭の壊死域を臼蓋荷重部から移動させ健常域での荷重を可能にすることにあるため,術後の可動域制限や筋力低下,疼痛などは,理学療法士が配慮すべき問題点と考えている.

 本稿では,IONとそれに対する大腿骨頭回転骨切り術の特徴について述べ,術前後のPTを展開する上での注意点を踏まえ考察する.

参考文献

1)渥美 敬,他:関節温存派.Arthritis 2:14-25,2004
2)渥美 敬,他:大腿骨頭回転骨切り術による進行期大腿骨頭壊死症に対する関節温存術の限界.Hip Joint 30:41-47,2004
3)渥美 敬:特発性大腿骨頭壊死症に対する骨頭温存手術の実施状況と普及への方策.Hip Joint 35:337-340,2009
4)Sugano N, et al:The 2001 revised criteria for diagnosis, classification, and staging of idiopathic osteonecrosis of the femoral head. J Orthop Sci 7:801-805, 2002
5)渥美 敬:大腿骨頭後方回転骨切り術の私の工夫.MB Orthop 22:121-129,2009
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7)渥美 敬:大腿骨頭回転骨切り術.股関節疾患の手術療法.新OS NOW 11:144-153,2001
8)杉岡洋一,他:大腿骨頭壊死症,メジカルビュー社,2003
9)本多 瞳:特発性大腿骨頭壊死症症例術前関節可動域制限の検討.Hip Joint 34(Suppl):173-175,2008
10)本多 瞳:大腿骨頭壊死症に対する回転骨切り術後の股関節回旋可動域の特徴.Hip Joint 33(Suppl):104-106,2007
11)嶋田智明,他(監訳):筋骨格系のキネシオロジー,医歯薬出版,2005
12)宮城健次:荷重位股関節回旋ストレステストの考案.第34回日本股関節学会:178,2008
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14)山嵜 勉(編):整形外科理学療法の理論と技術,メジカルビュー社,1997
15)渡辺 実,他:大腿骨頭壊死症に対する前方回転骨切り術と後方回転骨切り術における術後脚長差.Hip Joint 32:131-133,2006
16)本多 瞳:荷重位股関節回旋ストレステストの検討.Hip Joint 35(Suppl):168-170,2009

掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1882-1359

印刷版ISSN:0915-0552

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