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文献詳細

雑誌文献

理学療法ジャーナル44巻12号

2010年12月発行

文献概要

入門講座 薬と理学療法・6

在宅障害者の薬と理学療法

著者: 川手信行1

所属機関: 1昭和大学保健医療学部リハビリテーション医学

ページ範囲:P.1089 - P.1095

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はじめに

 理学療法士が対象としている障害者は病院に入院している患者のみとは限らない.特に近年においては,退院した後の在宅生活をも含めた維持期リハビリテーション(以下,リハ)の重要性が各方面から報告されている1,2).平成18(2006)年の「身体障害児・者実態調査」(厚生労働省)の報告によれば,障害者数(身体障害,知的障害,精神障害を含む)は約723.8万人であり,そのうち理学療法士の関わりが多いと思われる身体障害児・者数は約366.3万人,在宅での身体障害児・者は357.6万人に及ぶ(表1).

 このような現状のもと,訪問リハなどの在宅を中心としたリハの拡充が進んできており,理学療法士が在宅身体障害者に関わる機会も増えてきている.在宅では,病院や施設で行うリハとは違って理学療法士のみで赴くことが多く,そばに医師や看護師などの医療職がいないことが多い.病院や施設でリハを行う場合には,患者の身体状況や服薬内容,治療内容などに疑問のある場合にはすぐに医師や看護師に相談ができ,必要な時には助言や指導を受けることができるが,在宅においてはそれが不可能であることも多い.

 また,在宅身体障害者が障害を来すに至った原因疾患・外傷は多種多様であり,年齢も小児から高齢者まで多岐に及んでいる.そのため,服用している薬の種類も多様であり,複数の薬を服用している場合も多い.それらの薬の情報を把握し,患者の身体的状況やリスクを的確にとらえることは,病院・施設入所中の患者に比べると困難を要する場合が多いと思われる.しかし,理学療法士が在宅身体障害者に対してリハを行う場合,患者の服用する薬の情報から身体的状況やリスクを把握し,それに応じて在宅での練習内容を考えることは非常に重要であり,業務上必要なことである.

 今回は,在宅障害者の内服薬を中心に,在宅障害者において特に注意しなくてはならない薬を取り上げ,理学療法士が薬と関わる際の注意点などを含めて解説したい.

参考文献

1)長谷川幹:訪問リハビリテーションの効果をどう考えるか―医師の立場から.地域リハ 2:824-828,2007
2)日本リハビリテーション病院・施設協会(編):在宅リハビリテーション部会報告,pp3-4,日本リハビリテーション病院・施設協会,2006
3)高久史麿,他(監修):今日の処方,改訂第4版,南江堂,2007
4)浦部晶夫,他(編):今日の治療薬・解説と便覧2010,南江堂,2010
5)大高洋平:高齢者の転倒による骨折―現状と展望.MB Med Reha 89:29-34,2008
6)佐藤能啓:転倒予防のためのリハビリテーションと骨折.The Bone 24:85-88,2010
7)小原 淳,他:転倒を引き起こしやすい薬剤の服薬管理.ナース専科 23:52-55,2003
8)角田 亘,他:転倒をなくすために―転倒の現状と予防対策.慈恵医大誌 123:347-371,2008
9)小原 淳:薬剤による高齢者の転倒.Osteoporosis Japan 15:50-54,2007
10)倉沢高志,他:高齢高血圧患者における転倒の危険因子.日本医事新報 3698:46-47,1995
11)渡辺俊之:補助的治療,抑うつ状態―診断と治療について.総合臨牀 51:3289-3294,2002

掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1882-1359

印刷版ISSN:0915-0552

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