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文献詳細

雑誌文献

理学療法ジャーナル44巻2号

2010年02月発行

文献概要

症例報告

上腕骨外科頸骨折8年後に全人工肩関節置換術を受けた症例:挙上動作に対する集中的アプローチ

著者: 賀好宏明1 舌間秀雄1 佐伯覚2 蜂須賀研二2

所属機関: 1産業医科大学病院リハビリテーション部 2産業医科大学リハビリテーション医学講座

ページ範囲:P.137 - P.141

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要旨:転落による上腕骨外科頸骨折後に骨頭壊死を来し,受傷8年後に全人工肩関節置換術を受けた症例を担当した.手術前の状態では三角筋の重度委縮を認め,自動での肩挙上が90°と不良であった.手術時に小結節の骨接合術を受けたため,当初は患部外トレーニングを主体に運動療法を行った.小結節の仮骨が確認されてからは,肩挙上に対する集中的な運動療法を開始した.方法は,筋力強化時の姿勢を筋力回復に合わせ除重力位から抗重力位へ漸増させ,かつスリングを用いた自己介助下で行った.1日の運動時間は4~5時間を確保した.ハンドヘルドダイナモメーターによる筋力測定では肩周囲筋の改善を認め,特に屈曲筋力は6週間の経過で17.6Nから79.2Nへと著明に回復し,挙上角度は120°まで可能となった.重度の筋力低下を有する全人工肩関節置換術後の肩挙上動作の回復には,少量頻回の運動が有効であることが示唆された.

参考文献

1)高岸憲二:全人工肩関節置換術の成績,緒言.臨整外 38:1134-1135,2003
2)神島博之,他:肩関節における人工骨頭および人工肩関節置換術の成績―挙上可動域におよぼす要因の検討―.肩関節 25:283-286,2001
3)竹内公彦,他:人工肩関節置換術の術後成績―ADLの改善を中心として―.臨整外 38:1165-1169,2003
4)佐藤克己,他:全人工肩関節置換術の術後成績―術後X線変化を中心として―.臨整外 38:1145-1150,2003
5)宮内博雄,他:人工肩関節置換術の理学療法最前線.理学療法 25:1166-1173,2008

掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1882-1359

印刷版ISSN:0915-0552

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