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文献詳細

雑誌文献

理学療法ジャーナル44巻5号

2010年05月発行

文献概要

特集 新人教育

新人教育の目標

著者: 芳野純1

所属機関: 1太田医療技術専門学校理学療法学科

ページ範囲:P.357 - P.363

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新人教育における目標設定の必要性

 近年,理学療法士の教育のあり方について問われることが増えている.理学療法士の質的低下が問題視されている状況1)ではあるが,単に質の低下のみならず,対象者のニーズの変化や医療の高度化などによる社会的背景の変化,理学療法士の職域拡大や役割の多様化などにより,理学療法士に求められる能力そのものが高まっていることもその原因と考えられる.『理学療法白書2005』2)によると,約9割の理学療法士が,養成校卒業直後の理学療法士は,独立して理学療法業務を行うことは困難であると回答している.さらに理学療法士の卒前教育の到達目標のミニマムが「基本的理学療法が行えるレベル」から,「ある程度の助言指導の下で行えるレベル」に変更されたこと3)を考えると,資格取得後の継続教育の充実は必須であるといえる.今後,理学療法士養成校の卒業者数が年間1万人を超えることが見込まれている状況4)では,新人教育の質が,将来の理学療法士という資格自体の存在価値をも左右しかねないといっても過言ではない.

 理学療法士の新人教育に限らず,教育を行う際に目標を欠いたままではよい教育は実現できないといわれている5).また成人学習理論において,能動的な自己決定型の学習者にするために,最終的な目標を示すことが提唱されている6).したがって,新人教育においても教育目標の設定が必要であるといえる.では,理学療法士が新人のうちに学ばなければならないものや,新人理学療法士の到達目標とは何であろうか.本稿では,他の医療専門職や他国の理学療法士の到達目標を提示し,理学療法士の新人教育目標について述べていきたい.

参考文献

1)保村譲一,他:教育水準と卒前・卒後教育.理学療法学 32:21-25,2005
2)日本理学療法士協会:理学療法白書2005,2006
3)日本理学療法士協会:臨床実習教育の手引き(第5版),2005
4)半田一登:急増する新人理学療法士に対する理学療法士協会の取り組み.PTジャーナル 43:23-28,2009
5)梶田叡一:教育評価入門,協同出版,2007
6)日本医学教育学会:医学教育白書,篠原出版新社,2006
7)http://www.niph.go.jp/soshiki/jinzai/kenshu-gl/pdf/5/shiryo_4.pdf(参照:2010-1-6)
8)http://www.mhlw.go.jp/shingi/2004/03/s0310-6.html(参照:2010-1-6)
9)舟島なをみ:魅力ある院内教育の実現.看護展望 31:18-23,2006
10)Benner P(著),井部俊子(監訳):ベナー看護論新訳版,医学書院,2005
11)http://www.nurse.or.jp/nursing/practice/seisaku/pdf/2003/03.pdf(参照:2010-1-6)
12)梶田叡一:教育評価(第2版補訂版),有斐閣双書,2002
13)日本理学療法士協会:新人教育プログラム教本(第9版),2008
14)Jette DU, et al:Clinical instructors' perceptions of behaviors that comprise entry-level clinical performance in physical therapist students:a qualitative study. Phys Ther 87:833-843, 2007
15)Fitzgerald LM, et al:Validation of the clinical internship evaluation tool. Phys Ther 87:844-860, 2007
16)Task Force for the Development of Student Clinical Performance Instruments:The development and testing of APTA clinical performance instruments. Phys Ther 82:329-353, 2002
17)http://www.apta.org/AM/Template.cfm?Section=Professionalism1 & TEMPLATE=/CM/ContentDisplay.cfm & CONTENTID=41460(参照:2010-1-6)
18)http://www.apta.org/AM/Template.cfm?Section=Professionalism1 & TEMPLATE=/CM/ContentDisplay.cfm & CONTENTID=66771(参照:2010-1-6)
19)http://www.physiotherapy.ca/PublicUploads/224032EssentialCompetency%5B1%5D.pdf(参照:2010-1-6)
20)新村 出(編):広辞苑第6版,岩波書店,2008
21)芳野 純,他:医療施設における理学療法士の継続教育の現状.理学療法科学 25:55-60,2010
22)芳野 純,他:理学療法士継続教育の現状と獲得目標.理学療法学 35(suppl 2):666,2008
23)常田康司,他:病院における卒後教育の実践と課題.PTジャーナル 41:727-735,2007
24)芳野 純,他:資格取得後の理学療法士の到達目標.理学療法学 36(suppl 2):1713,2009

掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1882-1359

印刷版ISSN:0915-0552

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