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文献詳細

雑誌文献

理学療法ジャーナル44巻6号

2010年06月発行

文献概要

特集 呼吸機能障害とチーム医療

急性期病院における呼吸ケアチーム医療と理学療法士の役割

著者: 鵜澤吉宏1

所属機関: 1医療法人鉄蕉会亀田総合病院リハビリテーション室

ページ範囲:P.461 - P.468

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はじめに

 平成22(2010)年度の診療報酬の改定では,チーム医療の評価がされており,その中に人工呼吸器装着患者に対して多職種から構成されるチームによる計画的な治療への取り組みに対する診療報酬が新設される状況となった.このチームの一員として理学療法士が必須とされている.対象は一般病棟で人工呼吸療法が必要な患者であるが,Scheinhornらによると,ICU退室後も人工呼吸器装着が必要な症例のうち,約85%は理学療法を継続し呼吸器離脱や身体機能回復を図っている状況が報告されており1),今後はこの分野の充実と発展に期待と責任が生じると考える.

 チームの名称として呼吸ケアチームの呼称が一般的であるようだが,施設により「呼吸療法サポートチーム」など名称は様々である2).チームの定義付けとして,多職種で構成され,施設内で横断的に呼吸ケアを行うチーム3)とされ,活動内容は施設内職員教育,人工呼吸器装着患者の回診,マニュアルやチェックリストの作成など,診療支援から教育,安全管理などに関する内容と多岐にわたっている4).呼吸ケアチームの構成職種では,医師,看護師,理学療法士,臨床工学技士が中心となっている施設が多く,これらに続いて歯科衛生士,薬剤師,栄養士という職種となっている3,5,6).しかし,チーム体制は,その施設ごとで対象とする疾患の特徴やヒューマンリソースの違いがあり,形式や介入程度が異なっている現状がある.

 ここでは,当院での活動経験や他施設の報告などからの情報を踏まえ,呼吸ケアチームと理学療法士の役割などについて述べる.

参考文献

1)Scheinhorn DJ, et al:Post-ICU mechanical ventilation at 23 long-term care hospitals:a multicenter outcomes study. Chest 131:85-93, 2007
2)長谷川隆一,他:呼吸ケアチームの現状と今後.呼吸器ケア 6:53-59,2008
3)中西美貴,他:日本における呼吸ケアチームの現状.日呼ケアリハ学誌 19:s151,2009
4)櫻井美枝,他:人工呼吸安全管理に向けての活動―組織横断的メンバーによる呼吸安全教育プログラムの作成―.日呼ケアリハ学誌 19:163-165,2009
5)宇都宮明美:呼吸ケアチーム活動の現状と将来.人工呼吸 23:50-53,2006
6)木崎久美子,他:呼吸ケアチームにおける歯科衛生士の役割および活動状況.人工呼吸 25:159,2008
7)田代尚範,他:急性期呼吸療法チームの紹介と理学療法士の役割.理学療法学 32(Suppl):289,2005
8)鵜澤吉宏,他:臨床研修医に対する人工呼吸器教育の現状と課題について.人工呼吸 21:175,2004
9)Cox CE, et al:Effectiveness of medical resident education in mechanical ventilation. Am J Respir Crit Care Med 167:32-38, 2003
10)金子教宏,他:多職種連携で進化する呼吸ケア最前線.ナース専科 26:34-37,2006
11)Wilkins RL, et al:Fundamentals of Respiratory Care 8th edition, pp3-20, Mosby, St Louis, 2003
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14)MacIntyre NR:Evidence-based ventilator weaning and discontinuation. Respir Care 49:830-836, 2004
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16)Scheinhorn DJ, et al:Outcomes in post-ICU mechanical ventilation:a therapist-implemented weaning protocol. Chest 119:236-242, 2001
17)尾崎孝平,他:RST普及にもの申す!人工呼吸 24:235,2007
18)村中烈子,他:呼吸ケアのアンケート調査.~RST(呼吸ケアサポートチーム)の活動に向けて~.人工呼吸 25:237,2008
19)讃井將満,他:当センターにおける呼吸サポートチーム活動.人工呼吸 25:233,2008
20)安藤守秀:これからの理学療法士に期待する領域と能力―呼吸器領域から.PTジャーナル 44:26,2010

掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1882-1359

印刷版ISSN:0915-0552

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