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特集 徒手理学療法
徒手理学療法における臨床推論の進め方
著者: 亀尾徹1
所属機関: 1新潟医療福祉大学理学療法学科
ページ範囲:P.653 - P.659
文献購入ページに移動カリスマ的な「大先生」が見たこともない徒手的技術を用い,困難な症例をたちどころに改善させ,拍手喝采をあびる.一昔前までは徒手理学療法に対してこのような印象を抱く人が多かったのではないだろうか.しかし,この「大先生」は魔法使いでも手品師でもない.クライアントに望ましい変化が生じたとすれば,そこには何らかの根拠があり,それが目前のクライアントが持つ問題に対して適切に作用したと考えるのが妥当である.
本邦の徒手理学療法を概観したとき,専門知識・技術的側面が過剰に強調される傾向にあると感じることがある.専門知識・技術が重要であることは言うまでもない.しかし,それはクライアントが持つ問題点に対して適切に選択されてはじめて価値が認められるものである.徒手理学療法は古くから評価の重要性を強調し,仮説検証的手法,あるいは帰納法を用いて治療内容を決定し,再評価によってその治療を継続するべきか,あるいは他の技術を用いるべきかを決定してきた1).このクライアント中心の問題解決手法こそが徒手理学療法の基本であり,臨床推論は古くから徒手理学療法の根底にある大きな幹のひとつである.
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