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文献詳細

雑誌文献

理学療法ジャーナル44巻8号

2010年08月発行

文献概要

特集 徒手理学療法

徒手理学療法の効果と限界

著者: 荒木茂1

所属機関: 1石川県リハビリテーションセンター

ページ範囲:P.669 - P.673

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はじめに

 徒手理学療法の歴史は古く,「手で行う治療」という意味では理学療法士の行う治療のほとんどは徒手理学療法である.近年モビライゼーションとして紹介された手技は関節モビライゼーション,軟部組織モビライゼーション,神経系モビライゼーションなどに分類され,それぞれ対応する機能障害の治療として注目を浴びた.しかし,その効果を証明することは難しく,効果があるという文献もあればないという文献もあり,未だはっきりとした見解が出ているわけではない1).かつての神経生理学的アプローチと同様に新たな治療法に対する過剰な期待とその反動という歴史を繰り返しているように思える.徒手理学療法には多くの体系があり,またその技術の熟練度は個人差が大きく,ひとまとめに「徒手理学療法」として効果を論じたり,批評することはできない.

 一方,徒手理学療法の効果については多くの症例報告がなされており,その一つ一つは事実であろうし,学術的な研究論文としてその効果が証明されていようがいまいが,臨床の現場では患者や理学療法士にとって有用であるからこそ,長年にわたり淘汰を繰り返し現在の手技に進歩してきたに違いない.さらに今後も理学療法士にとって重要な治療手技として発展していくだろう.

参考文献

1)伊藤俊一,他:腰痛症治療における理学療法のシステマティックレビュー.理学療法 23:888-902,2006
2)Sahrmann SA,竹井 仁他(監訳):運動機能障害症候群のマネジメント,pp1-3,医歯薬出版,2005
3)Liebenson,et al,菊地臣一(監訳):脊椎のリハビリテーション 臨床マニュアル上巻,pp3-22,エンタプライズ,2008
4)McKenzie RA,鈴木信治(監訳):McKenzie腰痛治療法,p2,医歯薬出版,1985
5)荒木 茂:拘縮に対する徒手療法(その2).奈良 勲,他(編):拘縮の予防と治療,第2版,pp125-136,医学書院,2008
6)Cantu RI, et al:Myofascial manipulation theory and clinical application, pp128-145, Aspen Publishers, New York, 1992

掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1882-1359

印刷版ISSN:0915-0552

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