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特集 画像を活かした脳損傷のケーススタディ
[ケーススタディ・2]認知・注意障害を伴う大脳小脳神経回路の障害をもつ症例
著者: 手塚純一1
所属機関: 1社会医療法人財団石心会川崎幸病院リハビリテーション科
ページ範囲:P.757 - P.764
文献購入ページに移動はじめに
長い間,小脳は純粋に姿勢の制御や随意運動の調節を行うための神経基盤であると考えられてきた.しかし1980年代の半ばから,神経心理学・解剖学・電気生理学などの発展により,運動・前庭機能以外にも様々な認知過程に関与することが明らかになってきた.
本稿では,小脳と高次脳機能の関連についてまとめたのち,どのようにして画像と脳機能から病態を理解し,予後予測とリハビリテーションアプローチに活かしていくか,症例を通して述べる.
長い間,小脳は純粋に姿勢の制御や随意運動の調節を行うための神経基盤であると考えられてきた.しかし1980年代の半ばから,神経心理学・解剖学・電気生理学などの発展により,運動・前庭機能以外にも様々な認知過程に関与することが明らかになってきた.
本稿では,小脳と高次脳機能の関連についてまとめたのち,どのようにして画像と脳機能から病態を理解し,予後予測とリハビリテーションアプローチに活かしていくか,症例を通して述べる.
参考文献
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