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文献詳細

雑誌文献

理学療法ジャーナル44巻9号

2010年09月発行

文献概要

症例報告

ストレッチングと足底挿板が有効であった両側変形性足関節症例

著者: 赤羽根良和1 永田敏貢1 齋藤正佳1 栗林純1

所属機関: 1さとう整形外科リハビリテーション科

ページ範囲:P.823 - P.828

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要旨:両側足関節症を呈し, 左足部に人工関節が施行され, 右足部は理学療法を選択した症例を経験した. 70歳代の女性で, 診断名は右変形性足関節症であった. X線所見ではⅢ-b期と比較的高度な変形を認め, 正面天蓋角は73°, 側面天蓋角は78°であった. 理学所見では, 距腿関節周囲の著しい腫脹と軽度熱感を認めた. 歩容では踵接地期に踵骨は回外接地し, 立期中期にかけて距骨下関節の回外が増強することで歩行時痛が出現し, 歩行距離は30m程度と制限されていた. まず距腿関節ならびに距骨下関節の可動域獲得を目的としたストレッチングを実施し, さらに距骨下関節の力学的バランス機構の再獲得を目的とした足底挿板を実施した. これにより距腿関節の関節応力が寛解したため歩行時痛は改善し, 併せて歩行距離も順調に増大した. 開始12週後には歩行距離は500m程度なら疼痛を認めなくなり, 良好な治療成績が得られ, 理学療法を終了した.

参考文献

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13)杉本和也:足関節外側側副靱帯損傷の慢性化因子について.整形外科 41:1631-1638,1990

掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1882-1359

印刷版ISSN:0915-0552

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