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特集 自立支援
難病と自立支援
著者: 渡邊宏樹1 隆島研吾2
所属機関: 1茅ケ崎徳洲会総合病院リハビリテーション室 2神奈川県立保健福祉大学リハビリテーション学科理学療法学専攻
ページ範囲:P.23 - P.30
文献購入ページに移動「難病」とは社会通念的呼び名であり,これに含まれる疾患が厳密に定義されるものではない.1967~1968年,原因不明の神経病として認められていたスモン病の全国規模での多発を契機に,1972年,厚生省(当時)に特定疾患対策室が設けられ難病対策要綱が定められた1).本要綱では,いわゆる難病とされるもののうち行政対象となる疾患の範囲を①原因不明,治療方針未確定であり,かつ,後遺症を残す恐れが少なくない疾病,②経過が慢性にわたり,単に経済的な問題のみならず介護等に著しく人手を要するために家族の負担が重く,また精神的にも負担の大きい疾病と定義した.
以降,国の難病対策はこの難病対策要綱を根拠として,①調査研究の促進,②医療施設等の整備,③医療費の自己負担軽減,④地域における保健医療施設の充実・連携,⑤生活の質(quality of life:QOL)の向上を目指した福祉施策の推進を主な柱として様々な施策を展開してきた.これらの施策の中で取り上げられる場合,いわゆる難病は特定疾患と呼ばれ,例えば難治性疾患克服研究事業の臨床調査研究分野に指定された特定疾患は神経・筋,消化器,腎臓・泌尿器,循環器,呼吸器,血液,代謝・免疫,内分泌,骨・関節,皮膚,目,耳の罹患臓器130疾患にのぼる.
このように多岐にわたる難病(特定疾患)のうち,本稿では理学療法と関連の深い神経・筋系特定疾患であり,とりわけ臨床で難渋することが多く「難病の中の難病」と評される筋萎縮性側索硬化症(amyotrophic lateral sclerosis:ALS)に焦点を絞って,自立支援の可能性,その現状と課題について論じたい.
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