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文献詳細

雑誌文献

理学療法ジャーナル45巻1号

2011年01月発行

文献概要

報告

健常成人における計算式に基づく大腿骨頸部前捻角と股関節回旋可動域との関係の予備的検討―性別と肢位の違いによる比較

著者: 近藤淳1 井上宜充1 岡本賢太郎2

所属機関: 1公益社団法人地域医療振興協会横須賀市立市民病院リハビリテーション療法科 2公益社団法人地域医療振興協会横須賀市立うわまち病院リハビリテーション科

ページ範囲:P.81 - P.84

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要旨:今回われわれは,股関節に疾患を有さない健常成人24名48股関節(男性12名,女性12名)を対象に,股関節屈曲位・伸展位での股関節回旋角度を測定し,そこから股関節回旋可動域の中間位の算出を行った.それらとCraig検査で測定した大腿骨頸部前捻角参考値との比較を,男女・肢位別に行った.また身長,体重を測定,BMI(body mass index)を算出し,体格による影響も検討した.結果として,股関節屈曲位での男性の内旋角度,女性の外旋角度以外,すべての測定値において,大腿骨頸部前捻角参考値が大きいほど股関節内旋角度が大きく,外旋角度が小さく,回旋中間位が内旋に偏移する傾向を示した.股関節回旋可動域に関して,股関節伸展位に比べ股関節屈曲位では,大腿骨頸部前捻角参考値以外の因子が影響しやすい傾向を示した.男女間の比較では,股関節屈曲位での外旋角度以外,男性が外旋,女性が内旋に股関節回旋可動域が偏倚する傾向を認めた.また,女性のほうが大腿骨頸部前捻角参考値の影響を股関節回旋可動域に反映しやすいことが示唆された.肢位間の比較では,男性のみ,伸展位に比べ屈曲位のほうが,股関節外旋,内旋角度ともに小さくなる傾向を認めた.体格については,男性のみ,体重,BMIの増加に伴い大腿骨頸部前捻角参考値が小さくなる傾向が認められた.

参考文献

1)石井清一,他:標準整形外科学,第4版,p762,医学書院,1990
2)高岡邦夫(編):整形外科徒手検査法,第1版,pp68-69,メジカルビュー社,2003
3)Sahrmann SA(著),竹井 仁,他(監訳):運動機能障害症候群のマネジメント,pp127-128,医歯薬出版,2005
4)前岡 浩,他:画像解析ソフトImage J信頼性の検証.理学療法科学 23:529-533,2008
5)宮城健次,他:大腿骨前捻角観測値の臨床応用への可能性.第32回日本股関節学会学術集会プログラム・抄録集,p331,2005
6)Neumann DA(著),嶋田智明,他(監訳):筋骨格系のキネシオロジー,pp413-437,医歯薬出版,2005
7)Castaing J,他(著),井原秀俊,他(訳):図解 関節・運動器の機能解剖(下巻),p24,協同医書出版社,1986
8)Kapandji IA(著),荻島秀男,他(監訳):カパンディ関節の生理学Ⅱ,下肢 原著第5版,pp14-62,医歯薬出版

掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1882-1359

印刷版ISSN:0915-0552

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