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文献詳細

雑誌文献

理学療法ジャーナル45巻1号

2011年01月発行

文献概要

症例報告

変形性肩関節症に対する人工肩関節置換術後の理学療法の経験

著者: 岡徹1 黒木裕士2 古川泰三3 奥平修三3 水野泰行4

所属機関: 1京都警察病院理学療法室 2京都大学大学院医学研究科人間健康科学系専攻 3京都警察病院整形外科 4京都桂病院整形外科

ページ範囲:P.85 - P.89

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要旨:変形性肩関節症に対し,除痛や肩機能の向上を得るために,人工肩関節置換術が試みられている.しかし,術後理学療法についての詳細な報告は見当たらない.そこで今回,筋力強化運動を中心とした理学療法と肩機能の経過について,症例を通し検討した.術後の筋力強化運動として,再縫着筋である肩甲下筋の修復に注意しながら,筋力の回復を促した.またROM運動では,肩甲下筋の再断裂と拘縮に注意し,段階的にROMを拡大した.その結果,本症例は術前に強い疼痛を認めたが,術部への負担を注意しながら理学療法を行うことにより,術後12週でADLが自立となった.肩機能は術後24週までは改善し,その後,術後1年時も維持されていた.

参考文献

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掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1882-1359

印刷版ISSN:0915-0552

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