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文献詳細

雑誌文献

理学療法ジャーナル45巻10号

2011年10月発行

文献概要

特別寄稿

理学療法士の立場から観たケアに関する哲学的考察①―あなたのケアの根源はどこにありますか

著者: 奈良勲1

所属機関: 1神戸学院大学リハビリテーション学部

ページ範囲:P.857 - P.860

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はじめに

 現在,大阪大学大学院文学部研究科臨床哲学専攻の浜渦辰二教授らが中心となり,「北欧のケア実地調査に基づく理論的基礎と哲学的背景の研究」が実施されている.本研究のプロジェクトグループは,臨床哲学,文化人類学,社会福祉学,理学療法学,作業療法学,看護学分野のメンバー10人で構成されている.筆者は本研究プロジェクトのメンバーではないが,本研究会の勉強会に招聘され,標記のテーマで講演した.本論は,その内容を記述したものである.

 本論のタイトルを理学療法士の立場からとしているが,理学療法士は医療職,medical professionsの1つであることを十分に認識しながらも,筆者は42年間(臨床10年,教育32年)にわたり理学療法士としての立場をベースにして,対象者のcureとCAREに関与してきたからである.また,哲学的考察としたのは,本研究プロジェクトの意図に沿うような内容になればと願ったことと,筆者自身,これまで理学療法およびリハビリテーション,そしてそれらの背景にあるcureとCAREの本質についても倫理・哲学的に考察してきたことによる.

参考文献

1)奈良 勲:理学療法の本質を問う,医学書院,2002
2)WHO国際障害分類日本協力センター:WHO国際障害分類,第2版ベータ2案(日本語版),2000
3)市川 浩:精神としての身体,勁草書房,1975
4)奈良 勲:臨床におけることば<のリスク>哲学的リハビリテーション人間学の視点から.理・作・療法 10:751-758,1977
5)中村雄二郎:臨床の知とは何か,岩波書店,1992
6)中村雄二郎:感性の覚醒,岩波書店,1970
7)鷲田清一:「聴く」ことの力,阪急コミュニケ―ションズ,2005
8)浜渦辰二:<ケアの人間学>入門,知泉書館,2005
9)浜渦辰二:私の考える臨床哲学私はどこから来て,どこへ行くのか.臨床哲学 10:3-20,2009
10)江藤裕之:通時的・統語論的視点から見たcareとcureの意味の相違―care概念を考えるひとつの視点として.長野県看護大学紀要 9:1-8,2007
11)奈良 勲:プロフェショナル・コミュニケーション論.PTジャーナル 43:735-747,2009
12)プラトン,久保 勉(訳):饗宴,岩波文庫,1994

掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1882-1359

印刷版ISSN:0915-0552

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