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臨床実習サブノート スーパーバイザーの視点・論点―患者さんに触れるまで・7
パーキンソン病
著者: 大森圭貢1
所属機関: 1聖マリアンナ医科大学横浜市西部病院リハビリテーション部
ページ範囲:P.889 - P.896
文献購入ページに移動パーキンソン病(Parkinson's disease:以下,PD)の患者さんを担当する際の理学療法士の役割として最も重要なことは,他の疾患に対する理学療法と同様に,患者さんの機能・能力障害への対応を行い,患者さんが直面している生活の困難を軽減させたり,安全な日常生活を獲得させたりすることである.しかし多くの症状を呈するPDのすべての症状に対応できるわけではない.このため,評価を行い,一時的な機能障害,二次的な機能障害,これらが複合した機能障害と活動制限を識別し,理学療法による介入が可能な部分を明確にする必要がある1).また,症状が変動し,長期的には進行する,という特徴ももつため,理学療法場面での評価が生活場面での能力を反映できない,さらには現状にのみ着目した対応では,行った対応の効果が短期間で減少してしまうという可能性がある.このため,心構えとしては①生活場面で活かすための対応を行う,②今後出現が予想される障害に対しての予防的な視点をもつことが必要である.
学生がPDの患者さんを担当するときの実習期間がおおむね2か月とすると,学生の到達目標は,①理学療法場面での機能・能力の評価,介入が行える,②生活場面で必要な動作を把握,実施,評価し,必要に応じて環境整備を考えることができる,の2つになるのではないだろうか.さらに,実習期間中に退院時期が重なるようならば,③安全な生活を継続するためや,機能や能力の低下が生じる時期を遅らせるために,環境整備や安全に行える自主練習の指導を患者や家族に行う,ということが目標に加わると考えられる.
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