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文献詳細

雑誌文献

理学療法ジャーナル45巻10号

2011年10月発行

文献概要

報告

健常若年者における利き足の左右差が片足立ちに与える影響

著者: 佐藤健一1 小林量作2 計良圭一3 久保雅義2

所属機関: 1株式会社シルバーアシスト 2新潟医療福祉大学理学療法学科 3新潟アルビレックスランニングクラブ

ページ範囲:P.897 - P.901

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要旨:本研究の目的は,健常若年者を対象に踏切足(高跳びの踏切足),蹴り足(ボールを蹴る足)の利き足による違いが片足立ち時間に影響を及ぼすかどうかを検討することである.開眼・閉眼片足立ち時間の測定およびアンケートを学生588名に実施し,このうち骨・関節・筋の既往歴のある者を除いた463名を分析の対象とした.利き足に関しては,踏切足と蹴り足の左右どちらであるかを質問して,この結果と開眼・閉眼片足立ち時間および時間ロンベルグ率(閉眼片足立ち時間を開眼片足立ち時間で除す)を比較した.他に片足立ちに関連する因子として「めまい」「車酔い」「運動習慣」の有無を質問として挙げた.この結果,踏切足が左の者は踏切足が右の者より閉眼片足立ち時間が長く,時間ロンベルグ率においても有意に優れていたが,その効果量は小さかった.若年者の片足立ち時間の測定では,片足立ちに影響する要因のひとつとして踏切足および蹴り足を調査項目として把握しておくことが望ましい.

参考文献

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掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1882-1359

印刷版ISSN:0915-0552

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