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雑誌目次

雑誌文献

理学療法ジャーナル45巻11号

2011年11月発行

雑誌目次

特集 チーム医療における理学療法士の役割

EOI(essences of the issue)

ページ範囲:P.911 - P.911

 患者中心の良質で安全なチーム医療を実践するために,専門的向上心をもって役割を拡大し,スタッフ間のコミュニケーションを推進しながら,協業・補完的に,かつ多様に取り組む姿勢が求められている.各専門職が相互の専門性や独自性を尊重しながら有機的にチーム医療を推進していくための理学療法士の役割と課題を取り上げてみた.

チーム医療における理学療法士の役割

著者: 半田一登

ページ範囲:P.915 - P.920

 リハビリテーション(以下,リハビリ)医療と従来の医療との違いは,治療目的を生活に置いていることと,チーム医療を前提としていることにあります.それゆえに,リハビリ専門職(理学療法士,作業療法士,言語聴覚士)の教育は,チーム医療を方法論とした内容となっています.しかし,数多くの医療職の中で,われわれのような教育を受けた職種は非常に稀です.それゆえに,リハビリ専門職以外の方々とチーム医療について論議する際には,基本的な概念が異なっていることを知っておく必要があります.この数年の中で,厚生労働省にチーム医療推進会議が設けられたり,多くの職種によってチーム医療推進協議会が創設されました.その背景には多様な要因(表1)がありますが,その基本は消費者中心の概念の普及であったと思います.1970年代に代表される消費者運動の波が日本の医療界にも遅ればせながら影響を与えています.そのことは,医療界における訴訟が飛躍的に増えていることから確認されます.また,ヒポクラテスの考え方ですら,最近ではパターナリズム的であるという批判の声が上がっています.これらの社会的背景や動向を十分に理解することからチーム医療論議を行わなければ,あまりに情緒的で理念的な方向へ行く危険性があります.

 また,日本では法律によって医療専門職の身分や権限,そして学歴までが決められています.「理学療法士及び作業療法士法」の国際比較を行うために,多くの国の理学療法士会に情報の提供を求めましたが,驚いたことに日本のように法律でがんじがらめに縛られている国は皆無に近い状態でした.医師と薬剤師は6年間,管理栄養士は4年間,リハビリ専門職や診療放射線技師や臨床検査技師は3年間と法律によって規定されています.チーム医療を展開するにあたって,チーム内に学歴による身分格差が歴然とあるということは,チーム運営上の阻害因子になります.

急性期のチーム医療と理学療法士

著者: 高倉保幸 ,   國澤洋介

ページ範囲:P.921 - P.926

はじめに

 まず,はじめに急性期の定義を確認しておきたい.ここでいう急性期とは急性期病院に入院している時期ではなく,疾患による一次的な病態の発現や進行が急速に起こっている,あるいは起こる可能性が非常に高く(病態が安定していない),疾患に対する対応や全身管理を必要とする時期とする.つまり,急性期病院でも疾患の進行が止まれば急性期のチーム医療ではなくなり,回復期病棟に入院中であっても疾患の再発などが起これば急性期のチーム医療を必要とする.以下,この定義に従って書き進めていく.

回復期リハビリテーションのチーム医療と理学療法士

著者: 木野田典保

ページ範囲:P.927 - P.935

はじめに

 近年,医療に関する情報が広く公開され,患者あるいは家族自身で医療サービスを吟味し選択できるようになった.そのため,選ばれるサービス提供者側も,質が高く安心で安全な医療を追求し始めている.例えば回復期リハビリテーション(以下,リハ)を巡る状況も,2000年の診療報酬制度の改定で回復期リハ病棟が導入されて以来,目まぐるしく変化してきた.質の向上を目的に全国で導入されつつあるいわゆる365日体制も,回復期におけるリハのあり方を大きく変えようとしている.しかしその一方で,提供するサービスの高度化と複雑化に伴う業務の増大により医療現場の許容量をすでに超えてしまっているとの指摘もある1).こうした状況の中で医療のあり方を見直そうとする取り組みのひとつとして「チーム医療」に注目が集まっており,様々な領域で実践がされつつある.本稿では永生病院でのチーム医療の実例を紹介するとともに,これからの回復期におけるチーム医療のあり方について整理し,その中での理学療法士の役割を考える.

褥瘡対策チームと理学療法士

著者: 篠山潤一

ページ範囲:P.937 - P.942

はじめに

 入院患者にとって褥瘡の発生は,活動性を著しく低下させられるだけでなく,長期の臥床を余儀なくされ,入院生活に大きな影響を及ぼす.褥瘡は看護師だけがベッド上で予防するものではなく,医療チームが準備と計画性を持って知識の共有や対応を行うことが必要であり,そのなかで理学療法は,褥瘡の予防・発生後のケアに貢献できる.

 日本理学療法士協会においても2005年度に褥瘡対策特別委員会が発足し,翌年には各施設で設置されている褥瘡予防対策委員会での理学療法士の役割や取り組み方法を明確にするため,各ブロックで開催された学会において褥瘡対策シンポジウムが開催され,各施設において取り組みが継続・発展しているところである.厚生労働省においても「チーム医療の推進に関する検討会」や「チーム医療推進協議会」などによって議論がなされ,チーム医療を推進するため,医療職等の協働・連携の在り方が検討されている.

 そのなかで,チーム医療の推進のために①各医療スタッフの専門性の向上,②各医療スタッフの役割の拡大,③医療スタッフ間の連携・補完の推進,といった方向を基本として,関係者がそれぞれの立場で様々な取り組みを進めるとしている.また,リハビリテーション関係職種については,患者の運動機能を維持し,生活の質(QOL)の向上を推進する観点から,専門性を十分に活かし安全で質の高いリハビリテーションを提供できるよう,それぞれの業務範囲の拡大などを行うべきと報告されている.

 ここでは,当センター内にある中央病院での脊髄損傷者に対する褥瘡対策チームの取り組みを中心に,褥瘡対策チーム内における理学療法士の関わりについて述べる.

在宅におけるチーム医療と理学療法士

著者: 大久保智明 ,   野尻晋一 ,   山永裕明

ページ範囲:P.943 - P.948

はじめに

 理学療法士の在宅支援には住環境整備を行う退院・退所前後訪問リハビリテーション(以下,リハビリ),外来リハビリ,短期入所中のリハビリ,通所リハビリ,訪問リハビリなどがある.本稿では主に訪問リハビリにおけるチーム医療・介護と理学療法士の役割について述べる.

とびら

武士の家計簿

著者: 松葉好子

ページ範囲:P.909 - P.909

 恐れず,まっとうなことをすれば,よいのである….

 何気なく読んでいた本の最終ページでこの言葉を目にしたとき,ぐっときて泣きそうになった.本の題名は,『武士の家計簿「加賀藩御算用者」の幕末維新』(磯田道史著 新潮新書).映画「武士の家計簿」の原作である.

特別寄稿

理学療法士の立場から観たケアに関する哲学的考察②―あなたのケアの根源はどこにありますか

著者: 奈良勲

ページ範囲:P.950 - P.953

デュプュイトラン拘縮の手術による2週間の入院体験

 筆者は,8年前に両手の手掌腱膜が肥厚し,短縮する原因不明で無痛性のデュプュイトラン拘縮によって,手指が徐々に屈曲拘縮を起こし,洗顔やパソコンのキーボードを叩くときなどに支障が生じてきた.そのため,拘縮が強かった左指と手掌の手術を,広島市内の病院で専門の整形外科医から受けた.

 説明と同意の下,手術は全身麻酔下で(このため髭も剃られた)2時間を要し,術部の縫合は約50針であった.術後数日後からのガーゼ交換に際し,術部からの出血と滲出液を吸収する複数の小さなチューブ(ドレーン)を治癒が進む過程で少なくしていく処置が毎日行われた.その際,主治医に質問をすることもあったが,筆者自身が医療人であったため余計な質問はせずに,担当医が術部のガーゼ交換をしているときの表情を観察して,そこから経過の良し悪しを判断していた.手術後は循環状態を保つのが重要とのことで,水分を多く摂ることや日夜,手を心臓の位置より高く保持することが求められた(図1).睡眠中もスリングで上肢を吊り上げているため,寝返りはできなかった.

学会印象記

―6th World Congress of the International Society of Physical and Rehabilitation Medicine―世界のリハ医の中へ

著者: 来間弘展

ページ範囲:P.954 - P.956

 2011年6月12日~16日に,プエルトリコで行われたISPRM(International Society of Physical and Rehabilitation Medicine)へ参加しました.

1ページ講座 理学療法関連用語~正しい意味がわかりますか?

断端管理

著者: 脇元章博

ページ範囲:P.957 - P.957

●断端管理とは

 本稿では四肢切断者の断端管理について説明する.四肢切断術後の断端管理は切断者に対するリハビリテーションの要であり,これを円滑に行うことが早期からの義肢装着練習を可能にし,早期社会復帰に大きく影響する.断端管理は切断術直後の断端創を治癒させることと,義肢装着練習に適した断端を早期に形成することが大きな目標である.とくに近年,外傷に比べ,末梢血管障害による切断が増加し,末梢循環の悪化から断端の管理が難しくなっている.

義肢装具

JEWETT型体幹装具

著者: 井上佳和

ページ範囲:P.974 - P.974

●その特徴と適応

 JEWETT型体幹装具は骨盤帯から胸椎までに及び,胸腰仙椎装具(TLSO)に分類される.装具の構成は,3つのパッドと支柱よりなる.パッドの名称はその取り付け位置に由来し,胸骨パッド,背部パッド,恥骨パッドと呼ばれる.支柱は体幹外側から胸骨パッドと恥骨パッドそれぞれを結び,いわゆる“O字”状を呈している.背部パッドと前面にある支柱はバンドによって連結されている(図).

 JEWETT型体幹装具のこのようなデザインは,例えば他の胸腰仙椎装具(テーラー型装具など)で用いられている体幹装具の基本構造とは随分異なるものといえる.しかし,胸骨パッド,恥骨パッドによる後方に向かう力と背部パッドによる前方に向かう力は,3点固定の原理による矯正力を生み出しており,これが本装具の一番の特徴といえる.3点固定の原理とは,一方向に働く力とそこから離れた2点の逆向きの力により固定や矯正力を得る方法である.JEWETT型体幹装具の場合,体幹前面に2点,後面に1点の力がかかることにより,脊柱を伸展させるように矯正力が働く.脊柱を過伸展させることにより期待される効果については,椎間関節をロックした状態にすること,椎体にかかる荷重を軽減すること,の2点が挙げられる.体幹装具装着の目的として,脊柱の運動制限とそれに伴う疼痛の軽減が挙げられるが,椎間関節をロックすることでこの目的が果たせる.また椎体前面の荷重軽減については高齢者に多くみられる圧迫骨折に対する非観血的な治療手段のひとつと考えることができる.このことから,JEWETT型体幹装具の適応には,胸腰椎移行部の圧迫骨折や骨粗鬆症による脊柱後彎進行の防止などが挙げられる.

理学療法臨床のコツ・21

日常生活で心負荷を軽減するコツ②

著者: 笠原酉介 ,   井澤和大 ,   渡辺敏

ページ範囲:P.958 - P.960

はじめに

 日常生活活動(activities of daily living:ADL)では,必要とされる酸素需要に応えるべく心負荷は少なからず増大する.ADL中の心負荷を軽減させるためには,運動生理や疾患(特に循環器疾患)の病態生理について理解し,目的とするADLと心負荷との関連について考察する必要がある.本稿では,ADLを行う際の心負荷に関与する要素について概説する.

講座 理学療法スタンダード・3

呼吸障害の理学療法スタンダード

著者: 小島肇

ページ範囲:P.961 - P.967

はじめに

 わが国の呼吸理学療法に関する“専門用語と手技”の統一を目指した画期的な書に「呼吸理学療法標準手技」1)がある.このなかで「呼吸理学療法」は「呼吸障害に対する理学療法の呼称および略称さらには総称であり,呼吸障害の予防と治療のために適応される理学療法の手段」と定義されている.また,「換気の改善(換気量増大,不均等分布の是正,肺容量の増大など),気道内に貯留する分泌物の誘導排出,胸郭運動性の増大,酸素化の改善,自覚症状改善などである.最終的には,各種の呼吸障害によって引き起こされる日常生活活動制限の予防あるいは改善,拡大であり,早期離床や運動耐容能の改善も重要な目的である」と述べられている.

 本稿では「呼吸理学療法標準手技」出版後,発表された2つの診療ガイドライン2,3)を参考に「スタンダード」と位置づけ構成した.なお,引用した論文で採用されているエビデンスレベルはそれぞれ異なるので,表1のように統一して表記した.

入門講座 理学療法と「てこ」・3

理学療法と「てこ」①―身体で感じる「てこ」の原理

著者: 吉尾雅春

ページ範囲:P.969 - P.973

はじめに

 ヒトの運動器の構造はてこの集合体である.しかも,その多くは第1種のてこと第3種のてこである.第2種のてこの代表的なものとしては立位における爪先立ちが例として説明されることが多いが,異論もある.この議論はそれぞれで進めていくことにして,ここでは第1種のてこと第3種のてこを中心に取り上げてみたい.動作分析や運動療法に当たって,事象をどのように理解するか,具体的な課題を取り上げて次号と併せて解説する.まず本号では,てこの原理を身体で感じながら理解してみよう.

臨床実習サブノート スーパーバイザーの視点・論点―患者さんに触れるまで・8

肩関節障害

著者: 牛山直子

ページ範囲:P.975 - P.981

ステップ1.肩関節障害を診るうえでの理学療法士の役割と心構え

 肩関節障害を起こす疾患には様々な疾患があり,患者の病態や時期も様々である.受傷機転が外傷性か非外傷性か,時期が急性期か慢性期か,治療が観血的療法か保存的療法かなどにより患者を診るうえでの注意点は違ってくる.一般の病院で多くみられる肩疾患は,肩関節周囲炎と上腕骨外科頸骨折であると思われる.病院によっては肩腱板断裂や反復性肩関節脱臼の術後やスポーツ外傷などの疾患を診ることもあるかもしれない.本稿では,頻度の多い肩関節周囲炎からの肩関節拘縮を例に挙げ,情報収集や問診,評価において注意すべき点を説明していく.

 肩関節周囲炎は多様な病態(表1)1)と病期(表2)2)をもつため,病態や病期に適した理学療法を実施することが求められる.肩関節周囲炎では明らかな誘因なしに痛みや可動域制限などの機能障害を主訴に来院される患者が多い.肩関節は構造上の特徴から機能障害を起こしやすい関節であり,この機能障害により日常生活に大きな支障が起こる.理学療法士が適切に関わることで問題が改善することも多いが,病態を把握しないで治療を行えば状態を悪化させてしまうリスクがあることを忘れてはならない.このようなリスクを防ぐため,医師からの情報収集を十分行う必要がある.学生は準備として,機能解剖や機能運動学を学び,触診の技術も身につけておきたい.

症例報告

大腿四頭筋廃用性筋萎縮から改善し独歩可能となった重症型血友病Aインヒビター保有の一症例

著者: 下川亜希子

ページ範囲:P.983 - P.987

要旨:血友病の止血治療は,凝固因子製剤の進歩により確立された.しかし,欠損因子への抗体(インヒビター)が発生した患者では止血方法は確立されていない.そのため頻回の出血と止血不良による関節の機能障害や破壊がより大きな問題となっている.今回インヒビター保有患者が理学療法目的の入院により,車いす移動から独歩可能になった1例を経験したので報告する.

 症例はインヒビター保有の重症型血友病Aである.入院時,左膝関節は末期関節症,左大腿四頭筋廃用性筋萎縮の状態で歩行不可能であった.止血管理のため活性型第Ⅶ因子製剤を用い,左膝関節を中心とした理学療法を行った.理学療法を妨げる主因は出血と考え,理学療法の進行をあせらず十分な筋力をより安全に獲得することを目指し,長下肢装具を利用するなど工夫して独歩退院を達成した.

 インヒビター保有患者であってもQOL向上には積極的な理学療法が有効であると考える.

お知らせ

第16回日本在宅ケア学会学術集会/第4回兵庫リウマチチーム医療研究会/東日本大震災チャリティー講演会/第3回FIM講習会in倉敷/動物に対する理学療法 入門編in福岡/全国訪問リハビリテーション研究会第19回研究大会inつくば

ページ範囲:P.920 - P.968

第16回日本在宅ケア学会学術集会

日 程:2012年3月17日(土),18日(日)

メインテーマ:日本復興のための在宅医療・在宅ケア

学術集会長:原 礼子(慶應義塾大学医療看護学部)

会 場:ホテルグランドパレス(東京都千代田区飯田橋)

書評

―聖マリアンナ医科大学リハビリテーション部―「理学療法リスク管理マニュアル 第3版」

著者: 松永篤彦

ページ範囲:P.948 - P.948

 私は,理学療法を実践する際のリスク管理について,同施設内の理学療法士が編集と執筆を手がけたマニュアル書をあまりみたことがない.本書は,聖マリアンナ医科大学病院リハビリテーション部に所属する理学療法士が,長年にわたり臨床の現場で培ってきた知識と技術を惜しげもなく公開したリスク管理マニュアルである.一見,同施設内の理学療法士がまとめたリスク管理内容と思うと,リスクを層別する基準とその管理方法に対する見解(考え方)が偏っていると捉えがちである.しかし,医療システムや治療に対する考え方が異なる,さらには関連する医療チームの構成が異なる状況下で理学療法を展開してきた理学療法士がある特定の疾患に対するリスク管理をまとめた内容を寄せ集めて編集したマニュアルは,見解が異なった意見の集まりだけに,かえって混乱を招く恐れがある.例えば,急性期や慢性期といった病期区分自体,定義もなく未だ統一されていない.また,理学療法の開始基準や中止基準は同じ疾患でも施設間で大きく異なっている.つまり,本書は理学療法を実践するためのリスク管理法を同じ理念ならびに統一した知識と技術をもった理学療法士の視点からまとめたものであり,本マニュアル書の大きな特徴の一つとなっている.

 二つ目の本書の特徴は,疾患(群)のリスク管理法を提示する際,その疾患自体のリスクだけでなく,多臓器ならびに他疾患との関連性を考慮してまとめた点である.リスク管理に関する講習会等でよく経験することだが,聴講者から必ずと言ってよいほど,「他の疾患を合併したときにはどう展開すべきか」という質問が投げかけられる.これは,現場の理学療法士が担当する対象者の多くが多疾患有病者もしくはそのリスクを抱えているということに他ならない.急性期の病院施設だけでなく,回復期および維持期を担う場合であっても,対象者の疾患管理を多臓器および他疾患との関連で捉えることは今や必須となっている.

―勝平純司,山本澄子,江原義弘,櫻井愛子,関川伸哉―「介助にいかすバイオメカニクス」

著者: 市川洌

ページ範囲:P.968 - P.968

 人の動きを介助するということはとても難しい.介助の原則は,「自分でできることは自分でする」である.ところが,実際に介助支援の現場などで見ていると,本人がある動作を「できない」と見ると,介助者は直ちにすべてを介助してしまう.

 「何かができない」という事象に遭遇したとき,介助の原則で考えるなら,なぜできないかを考え,できない部分を福祉用具あるいは人手で補完することによってできるようにする,というのが原則である.ベッドからの立ち上がりなら,足を引き,体幹を前傾させ,ベッドを高くし,ベッド柵を利用して立ち上がる.これでも困難な場合には介助者が重心を前方に誘導したり,場合によって手を引いたり,という介助をする.一人一人の動きをアセスメントした結果に基づいて,必要な支援を行い,不要な支援は行わない.

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「作業療法ジャーナル」のお知らせ

ページ範囲:P.973 - P.973

文献抄録

ページ範囲:P.988 - P.989

編集後記

著者: 吉尾雅春

ページ範囲:P.992 - P.992

 ついに札幌の街にも熊が出没するようになりました.自宅の小学校区で目撃情報が寄せられていますからちょっと驚きです.自宅のすぐ近くにはロシア領事館もありますし,大通り公園まで車で5分の立地ですから,いかに街中に熊が出てきているか,お分かりいただけるでしょう.聞くところによると,今年は山中のどんぐりの実があまりないのだそうで,この時期,冬支度のために暴食になる熊にとっては辛い話です.そういえば自宅の庭のりんごも今年は裏年で,ほとんど実をつけませんでした.実がたわわになっていたら,熊がやってきていたかもしれません.

 ところで,果樹園のりんごの木に裏年というのは存在するのでしょうか?もし存在するとしたら,裏年は価格が跳ね上がってとんでもないことになります.要するに裏年にしてしまう人の技術の問題ということです.餅は餅屋,りんごは農家ということです.

読者の声募集

ページ範囲:P. - P.

基本情報

理学療法ジャーナル

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN 1882-1359

印刷版ISSN 0915-0552

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