文献詳細
特別寄稿
理学療法士の立場から観たケアに関する哲学的考察②―あなたのケアの根源はどこにありますか
著者: 奈良勲1
所属機関: 1神戸学院大学リハビリテーション学部
ページ範囲:P.950 - P.953
文献概要
筆者は,8年前に両手の手掌腱膜が肥厚し,短縮する原因不明で無痛性のデュプュイトラン拘縮によって,手指が徐々に屈曲拘縮を起こし,洗顔やパソコンのキーボードを叩くときなどに支障が生じてきた.そのため,拘縮が強かった左指と手掌の手術を,広島市内の病院で専門の整形外科医から受けた.
説明と同意の下,手術は全身麻酔下で(このため髭も剃られた)2時間を要し,術部の縫合は約50針であった.術後数日後からのガーゼ交換に際し,術部からの出血と滲出液を吸収する複数の小さなチューブ(ドレーン)を治癒が進む過程で少なくしていく処置が毎日行われた.その際,主治医に質問をすることもあったが,筆者自身が医療人であったため余計な質問はせずに,担当医が術部のガーゼ交換をしているときの表情を観察して,そこから経過の良し悪しを判断していた.手術後は循環状態を保つのが重要とのことで,水分を多く摂ることや日夜,手を心臓の位置より高く保持することが求められた(図1).睡眠中もスリングで上肢を吊り上げているため,寝返りはできなかった.
参考文献
掲載誌情報