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文献詳細

雑誌文献

理学療法ジャーナル45巻11号

2011年11月発行

文献概要

臨床実習サブノート スーパーバイザーの視点・論点―患者さんに触れるまで・8

肩関節障害

著者: 牛山直子1

所属機関: 1富士見高原病院理学療法科

ページ範囲:P.975 - P.981

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ステップ1.肩関節障害を診るうえでの理学療法士の役割と心構え

 肩関節障害を起こす疾患には様々な疾患があり,患者の病態や時期も様々である.受傷機転が外傷性か非外傷性か,時期が急性期か慢性期か,治療が観血的療法か保存的療法かなどにより患者を診るうえでの注意点は違ってくる.一般の病院で多くみられる肩疾患は,肩関節周囲炎と上腕骨外科頸骨折であると思われる.病院によっては肩腱板断裂や反復性肩関節脱臼の術後やスポーツ外傷などの疾患を診ることもあるかもしれない.本稿では,頻度の多い肩関節周囲炎からの肩関節拘縮を例に挙げ,情報収集や問診,評価において注意すべき点を説明していく.

 肩関節周囲炎は多様な病態(表1)1)と病期(表2)2)をもつため,病態や病期に適した理学療法を実施することが求められる.肩関節周囲炎では明らかな誘因なしに痛みや可動域制限などの機能障害を主訴に来院される患者が多い.肩関節は構造上の特徴から機能障害を起こしやすい関節であり,この機能障害により日常生活に大きな支障が起こる.理学療法士が適切に関わることで問題が改善することも多いが,病態を把握しないで治療を行えば状態を悪化させてしまうリスクがあることを忘れてはならない.このようなリスクを防ぐため,医師からの情報収集を十分行う必要がある.学生は準備として,機能解剖や機能運動学を学び,触診の技術も身につけておきたい.

参考文献

1)信原克哉:肩―その機能と臨床,第3版,医学書院,2001
2)立花 孝:肩関節周囲炎の場合.嶋田智明,他:肩関節運動機能障害―何を考え,どう対処するか,pp112-120,文光堂,2009
3)山口光國:病歴のとりかた・問診のポイント.嶋田智明,他:肩関節運動機能障害―何を考え,どう対処するか,pp2-7,文光堂,2009
4)牛山直子,他:他院治療を経て当院理学療法処方に至った肩関節周囲炎の2症例について.理学療法研究・長野 36:46-48,2007
5)嶋田智明,他:肩関節運動機能障害―何を考え,どう対処するか,文光堂,2009
6)山野仁志,他:いわゆる五十肩の評価・理学療法のポイント.理学療法 23:574-580,2006
7)立花 孝,他:肩関節.PTジャーナル 24:761-767,1990
8)設楽 仁,他:オーバービュー五十肩とは.臨床リハ 18:680-684,2009
9)森原 徹,他:リハに必要な五十肩のキネマチックス.臨床リハ 18:685-694,2009
10)皆川洋至:保存療法のすすめかた.臨床リハ 18:703-707,2009
11)横山茂樹,他:肩関節周囲炎・腱板損傷の病期別理学療法ガイドライン.理学療法 19:85-93,2002

掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1882-1359

印刷版ISSN:0915-0552

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