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文献詳細

雑誌文献

理学療法ジャーナル45巻2号

2011年02月発行

文献概要

とびら

実感すること

著者: 竹中弘行1

所属機関: 1湯河原厚生年金病院

ページ範囲:P.97 - P.97

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 幼い頃,山間の小さな村で祖父母と暮らした.昔話ではなく,山へ柴刈りに行き,かまどでご飯を炊き,風呂を沸かす.井戸からくみ上げた水を炊事場の水瓶や五右衛門風呂に入れる.水は冷たくて運ぶとゆらゆらして重く,火はパチパチと暖かく明るかった.私にとっての「水」と「火」の実感である.オール電化の世の中では今は何処の感は拭えないが…….

 ひるがえり,理学療法士としての仕事をしてはや30年.仕事の中にある実感は幾ばくのものであろうか? かなり不安がよぎる.新人時代,諸先輩から直接指導を受け,患者さんの反応の違いを実感した.そして学ぶにあたり本物に接することの大切さも教えていただいた.多くのことは一見簡単そうに見えて,やるとうまく行かない.見るとやるとでは大違いである.でも,できそうでできないことに出会うと思わず引き込まれて熱中してしまい,時間を忘れて続けてしまうということは皆経験するのではないか.その結果,自ら見つけた「これだ!」という発見は実に気分が良い.できてしまえば簡単・単純なことも多いが,「これだ」という実感と達成感は大きい.セラピストの「アハ体験」.患者さんとこの感覚が共有できた時に味わえる快感と成功感でここまで続けてきたような気がする.

掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1882-1359

印刷版ISSN:0915-0552

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