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文献詳細

雑誌文献

理学療法ジャーナル45巻2号

2011年02月発行

文献概要

入門講座 訪問理学療法の基本・2

在宅高齢者をよく知ろう

著者: 新谷和文1

所属機関: 1訪問リハビリテーション事業所榛名荘病院

ページ範囲:P.149 - P.155

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はじめに

 訪問リハビリテーション(以下,リハ)は,介護保険における居宅介護サービスのなかでは最も利用者の少ないサービスであり,2007年の調査では,居宅介護サービス利用者268万人中4.4万人とわずか1.7%にすぎない1).このような状況で,事業所によっては,訪問リハの依頼があっても十分なサービスを行えていないことも想像される.また,新規に訪問リハサービスを開始する事業所の質の担保が十分なされているかも不明である.

 近年では入院期間短縮により,早期に自宅に退院される方が増えてきている.退院早期は,自宅での新しい生活を再構築するうえで大変重要な時期であり,さらに,病状も安定した時期とは言えず,リスク管理も重要である.

 本稿では,こうした背景のなか,訪問理学療法を行うにあたり知っておいて欲しい高齢者やその家族の特徴,また,訪問理学療法を進めるにあたり有用と思われる指標をいくつか示すこととする.

参考文献

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掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1882-1359

印刷版ISSN:0915-0552

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