icon fsr

文献詳細

雑誌文献

理学療法ジャーナル45巻3号

2011年03月発行

文献概要

ひろば

終末期における理学療法の位置づけを再考する

著者: 池田耕二12 山本秀美1 中田加奈子1

所属機関: 1道仁病院リハビリテーション科 2大阪電気通信大学大学院医療福祉工学研究科

ページ範囲:P.240 - P.240

文献購入ページに移動
・終末期における理学療法の位置づけを再考する

 理学療法は生活の質(QOL)の向上を目的としながらも,病期によってその位置づけに違いがみられる.例えば,急性期には医学モデルのもとで病状の回復を目指し,回復期には身体回復モデルのもとで社会復帰を目指す.また維持期には社会モデルのもとで社会適応,つまりいかに快適に暮らすかを模索するという位置づけがある.それでは,終末期はどうか.終末期もQOLの向上を目指すことに異論はないが,それが実感しにくい点が他のモデルと異なるため,明確な位置づけも提起できていないように思われる.

 筆者が終末期理学療法実践の現場で日頃感じているのは,患者は人生を振り返りながら「これで良かった」「それでも幸せだった」と一つ一つのことに意味や価値付けを行い,自分自身や家族を納得させているということである.QOLが個人(価値観など)と環境(状況や文化など)の関係性から構築されるものであることを踏まえれば,価値観や状況が変われば当然QOLも再構築されるものと考えられる.したがって,その中で如何に患者が納得できるQOLを再構築できるかが焦点となり,患者らは自らを問い直しながらQOLの再構築を行い,納得性を引き出していると推察できる.

参考文献

1)中田加奈子,他:3年目の理学療法士は終末期理学療法実践をどのように体験しているか? 理学療法科学 25:523-528,2010

掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1882-1359

印刷版ISSN:0915-0552

雑誌購入ページに移動
icon up
あなたは医療従事者ですか?