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文献詳細

雑誌文献

理学療法ジャーナル45巻4号

2011年04月発行

文献概要

報告

後出しジャンケン課題の信頼性およびMMSEとの関連

著者: 杉本諭1 伊勢﨑嘉則2 丸谷康平3 工藤紗希3 室岡修3

所属機関: 1健康科学大学健康科学部理学療法学科 2第2八丈老人ホームリハビリテーション科 3介護老人保健施設日高の里リハビリテーション部

ページ範囲:P.321 - P.325

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要旨:介護保険サービスを利用する高齢者69名を対象に3種類(あいこ・勝ち・負け)の後出しジャンケン課題を実施し,課題の再現性およびMMSEとの関連を検討した.課題は30秒間を1セットとし,「あいこ」→「勝ち」→「負け」→「負け」→「勝ち」→「あいこ」の順に各2セット施行した.連続測定の再現性のICC値は0.721~0.893,日の違いの再現性のICC値は0.639~0.913であった.認知機能評価との相関分析では,MMSEとの相関係数ρは,あいこ0.252(p<0.05),勝ち0.283(p<0.05),負け0.407(p<0.01)であった.以上の結果より本研究で行った後出しジャンケン課題は,再現性が高く,短時間で遂行可能であり,MMSEとの関連が見られたことから,認知機能のスクリーニング検査の補助的手段としての可能性が示唆された.

参考文献

1)内閣府:平成22年度高齢社会白書,佐伯印刷,2010
2)森 悦朗,他:神経疾患患者における日本語版Mini-Mental Stateテストの有用性.神経心理学 1:82-90,1985
3)東京都老人総合研究所:ファイブコグ高齢者用集団認知検査.NPO認知症予防サポートセンター,2008
4)Omori M, et al:Neuronal substates participating inattentinal setshifting of rules for visually guided motor selection:A functional magnetic resonance imaging investigation. Neurosci Res 33:317-323, 1999
5)橋爪敏彦:アルツハイマー病の重症度と痴呆テストバッテリーの意義.慈恵医大誌 119:41-50,2004
6)矢冨直美:早期の痴呆あるいは前駆状態を対象とした介入プログラムのあり方.老年精神医学雑誌 14:20-25,2003
7)福永篤志,他:後出し負けじゃんけん時の補足運動野の役割.高次脳機能研究 25:242-249,2005
8)根本清貴,他:軽度認知機能障害の脳血流および形態変化―茨城県利根町における横断研究.Dementia Japan 18:263-273,2004
9)金子満男,他:脳リハビリテーションの実際早期認知症の予防と改善プログラム,pp1-4,医歯薬出版,2007
10)川島隆太:成人の脳の可塑性と限界.PTジャーナル 39:209-213,2005

掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1882-1359

印刷版ISSN:0915-0552

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