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雑誌目次

雑誌文献

理学療法ジャーナル45巻5号

2011年05月発行

雑誌目次

特集 がん患者のリハビリテーションと理学療法

EOI(essences of the issue)

ページ範囲:P.369 - P.369

 がん患者は年々増加の一途をたどり,長年日本人の死因の1位を占めている.医療,介護の現場でも理学療法士が対象として接することも増えてきている.理学療法士が関わる場合には,がんに共通した問題と発生した部位による問題との両面を考慮した取り組みがより一層必要とされる.今回の特集では,がん患者に対するリハビリテーションの役割やスタッフが関わっていくうえで考慮すべき心の問題,理学療法を実施するうえで共通する問題などについて解説していただいた.

がん患者の治療/ケアにおけるリハビリテーションの役割

著者: 田沼明

ページ範囲:P.371 - P.376

はじめに

 高齢社会となったわが国において,がん罹患者数は年々増加している.2005年のがん罹患者数は約67.6万人1)であるが,2015年には89万人になると推計されている2).一方,治療技術の進歩などにより死亡率が減少しているため,がん生存者も増え続けている.15歳以上の5年有病者数(がん生存者で過去5年以内にがんと診断された者の数)は2000年に150万人であったが,2020年には230万人に達すると考えられている3).このような状況の中,がんによる障害に対応してがん患者のquality of life(QOL)を保つこと,すなわちがんのリハビリテーションの重要性が認識されるようになってきている.

 がん患者数の増加に対応するため,2007年にがん対策基本法が施行された.その基本的施策として「がん予防・早期発見の推進」「がん医療の均てん化の促進」「研究の推進」の3項目が掲げられている.そして,「がん医療の均てん化の促進」の具体的内容のひとつとして「がん患者の療養生活の質の向上」が挙げられている.また,がん対策基本法に基づいて作られたがん対策推進基本計画には「がん患者に対するリハビリテーション等について積極的に取り組んでいく」と明記されている.このように行政もがんのリハビリテーションを推進する立場をとっている.

がん患者の心の問題とリハビリテーションへの期待―サイコオンコロジーの知見から

著者: 竹内麻理 ,   清水研

ページ範囲:P.377 - P.382

はじめに

 がん診断と治療の進歩により,治癒率や生存率は上昇したが,それでもわが国におけるがんによる死亡は年間30万人を超え,死亡原因の第1位でもある.“がん=死”のイメージは未だに浸透しており,がんの病名告知からはじまる闘病生活は多くのストレスに曝されることとなる.その結果,不安,抑うつを呈する患者は多く,希死念慮や自殺企図といった問題に波及することも少なくない.介護者である家族が不安,抑うつ症状を訴えることもある.また,病状の進行や治療の過程の中で,患者がせん妄と呼ばれる精神症状を呈することもある.そのようながん患者や家族の精神・心理的問題を取り扱う領域がサイコオンコロジーであり,サイコオンコロジストは,がん罹患によって発生した精神・心理的苦痛を軽減する役割を担っている.サイコオンコロジストが提供する医療は直接がんそのものを治癒するための治療ではないが,がん患者の抱える障害の軽減を図るという点で,リハビリテーションと類似したアプローチともいえるだろう.本稿では,リハビリテーションへの動機付けにも影響を及ぼすがん患者の精神・心理的問題を取り上げ概説した.また,サイコオンコロジストの立場からリハビリテーションに期待することも触れさせて頂いた.リハビリテーションの現場で参考にしていただければ幸いである.

がん患者の体力消耗状態に対する理学療法の進め方

著者: 額田愛子

ページ範囲:P.383 - P.389

はじめに

 がんは2~3人に1人がかかる身近な病気であり,現在でも死亡率の第1位である.がんに関する予防と治療の研究は日進月歩で,手術療法,化学療法,放射線療法を組み合わせた集学的治療の進歩は治癒率や生存率を年々上昇させてきた.それとともに,がんそのものによる体力低下や治療に伴う二次的障害による運動機能や生活機能の低下,つまりがん患者の生活の質(QOL)についても関心が高まっている.日常生活活動(ADL)は終末期まで比較的保たれ,死亡の直前までいろいろなことが患者自身で行えることも多い.亡くなる2週くらい前までは自力移動が可能で,その後徐々に各動作に障害が出現する.やがて移動や排便,排尿が死亡の10日くらい前からできなくなり,食事や排泄は1週間くらい前から,水分摂取や会話・応答は2~3日前からできなくなってくる1).今年,さらなるがんの治療中,治療後のQOL維持・改善が望まれる中,ますます多様化しているがん治療とその副作用,二次的障害に対し知識を深めるとともに,他職種との連携によって治療中から終末期までのすべての病期で適切な関わりを行える療法士の育成が必要である2,3)

転移性骨腫瘍のある患者の理学療法の進め方

著者: 中村大輔 ,   島津尚子 ,   畠中泰司 ,   水落和也 ,   松宮美奈

ページ範囲:P.391 - P.397

はじめに

 転移性骨腫瘍(以下,骨転移)とは,悪性腫瘍が骨に転移したものである.骨転移自体が致命的となることは少ないが,疼痛,病的骨折,神経障害などにより患者の日常生活活動(ADL)と生活の質(QOL)を著しく低下させるリスクが高い.また,残された時間に限りのある患者のQOLをいかにして維持向上していくか対応に悩むことも多い1)

 本稿では骨転移について概説し,骨転移に対し理学療法を実施する際のポイントについて述べる.

造血幹細胞移植患者における理学療法介入の意義

著者: 井上順一朗 ,   小野玲 ,   牧浦大祐 ,   竹腰久容 ,   中田登紀江 ,   石橋有希 ,   岡村篤夫 ,   南博信 ,   三浦靖史 ,   佐浦隆一

ページ範囲:P.399 - P.405

はじめに

 2010年4月の診療報酬改訂において,「がん患者リハビリテーション料」が新設され,がん患者に対するリハビリテーション(以下,リハビリ)の重要性が認識されつつある.

 がん患者に対するリハビリの特性として,がん自体が体力低下や機能障害を引き起こすことに加え,手術・化学療法・放射線療法などのがんに対する治療によっても身体機能に影響を及ぼす合併症が生じえることから,がんの種類や部位,進行を考慮したリハビリや,治療後に予想される合併症・機能障害を治療開始前から予防するリハビリが重要であること,また,他のリハビリ対象となる良性疾患とは異なり,原疾患の進行に伴い機能障害の増悪,二次的障害が生じるため,それらの変化に対応したリハビリが必要であることなどが挙げられる.

 「がん患者リハビリテーション料」では,その算定要件となる対象患者の中に「血液腫瘍と診断され,当該入院中に化学療法若しくは造血幹細胞移植が予定されているもの又は施行されたもの」が挙げられており,固形腫瘍の患者のみならず,血液腫瘍の患者に対しても,前述のように障害に応じた積極的なリハビリ介入が求められている.これにより,治療後早期の社会復帰が期待される.

 本稿では,造血幹細胞移植の概要および理学療法介入の意義を述べるとともに,当院で積極的に実施している同種造血幹細胞移植患者に対する廃用症候群予防のためのリハビリ介入について紹介する.

とびら

気づき

著者: 菅原慶勇

ページ範囲:P.367 - P.367

 “今時の若いPTは”と,昔はよく言われたものである.今日に至っては若いPTが優秀なのか,物分かりが良いのか,はたまた私自身若いPTとのつき合いが希薄になってしまったのか,言うこともないし耳にもしない.同僚に負けまいと突っ張り,勢いだけで過ごした20代であったと振り返り,自己嫌悪に陥る.周りの朋輩もそんな感じであるから,われわれ古参は,今時の若いPTを見習うべきなのかもしれない.ただ,何か物足りない.怒られたことは,今でもよく覚えている.怒られたことは二度と繰り返すまいと注意を払い,周到に調べ,考え抜いた末に納得し行動に移す.この考えるプロセスを持つ意識が大切である.そこには気づきが生まれる.

 物事には程度(ほど)がある.素直さもである.今時の学生は何でも聞いてくる.確かに“何でも聞きなさいよ”と言った覚えはあるが,それは学生自ら調べることも前提としている.カンファレンスで意思決定が医師主導であった場合は,なぜか納得いかないことが多い.多くのスタッフが意思決定に絡んで考え抜いてこそ,気づきが生まれる.学生が,幼子のように“なんで,どうして”と努力なしに聞くのは,言うなれば独断でわがままである.そこに気づきはなく,生産性もない.

報告

在宅高齢者における転倒に関する内的要因の同時検討

著者: 宮原拓也 ,   山口賢一郎 ,   坂上昇 ,   加藤宗規 ,   野北好春 ,   勝木員子 ,   磯崎弘司

ページ範囲:P.407 - P.413

要旨:転倒における内的3要因(運動要因・感覚要因・高次要因)を同時に検討することを目的に運動機能評価とアンケートを実施した.対象は運動機能測定参加者260名(65歳以上)で,項目は握力,長座位前屈,functional reach,timed up and go test,両足反応時間,骨密度,開眼・閉眼片脚立位,膝伸展筋力,3分間歩行試験を実施した.アンケートでは,転倒有無,頻度,場所とmodified falls efficacy scale(以下,MFES)を実施した.転倒群と非転倒群に分けて2群比較を実施し,p<0.01であった6項目(運動機能測定から開眼片脚立位と3分間歩行,MFESの4項目)を独立変数,転倒有無を従属変数としてロジスティック回帰分析を実施した.その結果,抽出された変数はMFESの「階段」であった.2群比較でp<0.05を示した項目からは内的3要因すべての影響が示唆されたが,ロジスティック回帰では高次要因の一部(MFES)がより影響している可能性が示唆された.しかし,課題設定などの限界から断定には至らなかった.

ひろば

人間の知性と情意との発達はアンバランス?

著者: 奈良勲

ページ範囲:P.414 - P.414

 人類の脳が他の動物のそれよりも進化してきて現在に至っていることは,誰もが知るところである.だが,なぜ人類の脳だけが顕著に進化したのかについては誰も証明できていない.これまでの学説によれば,アフリカ大陸の森林帯が荒廃したため類人猿が平原に移り住まざるを得なくなったことや,野生の動物から身を守らなければならない過酷な環境に適応するために,類人猿の脳が進化して生存するための知恵が必然的に獲得され,人類として進化したと言われている.

 他の動物も進化している部分もあるが,環境への適応力という点からすれば人類よりも勝っているため,脳の進化はさほど必要ではなかったとも言える.だが,一部の野生動物はすでに絶滅してしまい,その危機に瀕している種もいる.その原因のほとんどが人間による環境破壊や乱獲に起因している.その事実に気付いた人間は,野生動物保護区,狩猟禁止や捕獲制限などについて国内外の条例策定を協議し続けている.

臨床評価実習での経験を通して

著者: 久津輪正流

ページ範囲:P.418 - P.418

・はじめに

 今回,療養型病床を有する病院で評価実習を行うという貴重な経験を得たので,学生の視点から感じたことを述べてみたい.

1ページ講座 理学療法関連用語~正しい意味がわかりますか?

プリズムアダプテーション

著者: 渡辺学

ページ範囲:P.415 - P.415

 プリズムアダプテーション(prism adaptation:以下,PA)とは,プリズムによって目に与えられる近刺激パターンに何らかの歪みを加えた光学的な空間的変換条件に一定期間置かれると,初めは誤差を生ずるが,試行を繰り返すと外的環境との対応がしだいに回復し順応する現象をいう.実験心理学の分野では100年以上前から逆さ眼鏡などを用いた研究が行われてきた.

義肢装具

SHB(継手なしプラスチックAFO)

著者: 島津尚子

ページ範囲:P.442 - P.442

●SHBの特徴と適応

 継手なしプラスチックAFOの中でも多く使用されているshort hone brace(SHB)の形状は後面支柱タイプで,足関節の機能はトリミングラインや材料の硬度によりプラスチックのたわみを利用し調整する.これにより底背屈の動きをもたない固定から制動,補助までと幅広い機能をもつとされるが1),運動軸は生理的な足関節の軸と一致しないため歩容に影響を与える(図a).足底は趾先までのものとMTP関節までのものがある.槌趾では趾先まで支持が必要であるが,そうでない場合はMTP関節でカットすることで靴の装着が容易となり,歩行中に足趾の動きを妨げないため歩容が改善することがある.

 適応は弛緩性麻痺からプラスチックで矯正が可能な中等度の痙性尖足で,足関節底屈方向だけでなく背屈方向の制動が必要な状態である.また,傷を作ることもあるため感覚障害がある場合は注意が必要である.

新人理学療法士へのメッセージ

理学療法士twitter(のつぶやき)

著者: 愛下由香里

ページ範囲:P.416 - P.417

 私はまだ経験年数10年ですが,なぜかリハ室の責任者となり4年目を迎えました.「闘魂」をスローガンに,毎日12名の仲間達に支えられながら急性期の慌ただしい病院で勤務しております.今回は新米責任者の立場から,大した情報は提供できませんが自分の軌跡を反省しながら,経験してきたことをtweet(つぶやき)させて頂きます.

講座 炎症と理学療法・1【新連載】

慢性炎症と生活習慣病

著者: 蔡榮龍 ,   島田和典 ,   代田浩之

ページ範囲:P.419 - P.426

はじめに

 近年,心筋梗塞や脳梗塞などの動脈硬化性疾患が増加傾向にある.これらの上流に位置する生活習慣病の治療として,生活習慣の改善や薬物療法が重要視されている.一方,これらの動脈硬化の発症・進展において「炎症」というキーワードが注目されている.

 元来,動脈硬化の原因についてはコレステロール血漿成分の滲出に基づいた脂質蓄積説が主流であった.しかし,1976年にRossら1)によって血小板由来増殖因子(platelet-derived growth factor:PDGF)による血管内皮の傷害反応説(response-to-injury hypothesis)が提唱された.その後,マクロファージやサイトカインなどを軸とした炎症反応を重視した説に修正され,それ以降の動脈硬化のテーマは徐々に「炎症」へとシフトしていくこととなった.

 動脈硬化の成因論として「炎症」が強く関与していることは実験的にも臨床的にも支持されており,その正当性が検証されている.本稿では,動脈硬化を炎症性疾患としてとらえ,動脈硬化の発症,進展と「炎症」の関与を概説することで動脈硬化予防の理解を深めることにつながれば幸いである.

入門講座 理学療法における接遇とコミュニケーション・1【新連載】

理学療法士としての基本的接遇・コミュニケーションスキル

著者: 吉井智晴

ページ範囲:P.427 - P.431

 理学療法士としての基本的接遇は,「理学療法のプロとしての自覚と技術を持ち,相手への気遣いができること」である.コミュニケーションはスキルの部分が確かにある.しかし,スキルを身に付けるだけでなく最終的には「人格」を磨くことが大切である.

理学療法臨床のコツ・17

筋力トレーニングのコツ―自重を用いた筋力トレーニング

著者: 山田英司

ページ範囲:P.432 - P.434

 体重や四肢の重さを負荷として行う自重を用いた筋力トレーニングは,場所を選ばず簡易に行えることにより,理学療法室のみならずホームエクササイズとしても多く用いられている.しかし,過負荷の原理を考慮すると,自らの体重が負荷の上限であり,機器を用いた外的負荷による筋力トレーニングと比較すると筋力増強効果は低い.

 自重を用いた筋力トレーニングの特徴として,外的負荷による筋力トレーニングとしては解放運動連鎖(open kinetic chain:以下,OKC)の運動が選択されることがほとんどであり,自重を用いた筋力トレーニングでは閉鎖運動連鎖(close kinetic chain:以下,CKC)での運動が選択される場合が多いといわれているが1),自重を用いた筋力トレーニングであっても背臥位での膝伸展挙上運動や端座位での膝伸展運動を行う場合もあり,目的を考慮した運動方法の選択が重要である.本稿では,OKCとCKCの違いによりトレーニングの目的と方法を紹介する.

臨床実習サブノート スーパーバイザーの視点・論点―患者さんに触れるまで・2

変形性股関節症

著者: 神戸晃男 ,   山本美紗子

ページ範囲:P.435 - P.441

ステップ1.理学療法士の役割,理学療法士としての心構え,目標

 変形性股関節症(以下,股OA)の患者の特徴に,①股関節痛,②股関節可動域(以下,股ROM)制限,③股関節周囲の筋力低下,④下肢脚長差,⑤跛行が挙げられる.また長年の股関節痛や下肢アライメントの不良から,全身のアライメント異常(骨盤前傾等)や筋力の低下を引き起こしていることが多い.

 したがって,股OA患者の理学療法では,股関節以外の体幹・骨盤・膝・足部の筋力低下や疼痛,ROM制限も改善して日常生活活動(ADL)の向上を図り,全身のアライメントの修正,習慣化された基本動作や歩行の代償性運動パターンの改善も考慮して理学療法を進めることが大切である.さらに股OA末期患者では,全人工股関節置換術(THA)が適応となり,耐用年月の向上や脱臼に留意し,生活指導も重要である.THA患者では股関節周囲の疼痛が改善すると屋外活動も広範囲となる.患者満足度や生活の質(QOL)を向上させることが最終目標である.

プラクティカル・メモ

中手指節関節の伸展拘縮に対してカフに注目した動的スプリントの試作

著者: 村瀬代里子 ,   松本正知 ,   若林徹 ,   松田理 ,   北浦万里子 ,   佐々木浩樹

ページ範囲:P.443 - P.443

1.はじめに

 整形外科領域において中手指節間関節(以下,MPjt)の伸展拘縮は予防することが第一とされている.しかし,種々の問題で拘縮を来してしまった場合,拘縮を改善する目的で動的スプリントを用いることはたびたびある.今回,容易に入手可能な素材を用いてMPjtの伸展拘縮を効果的に改善する動的スプリントを試作したので紹介したい.

書評

―塩谷隆信,高橋仁美,高島千敬(編)―「極める!!最新呼吸リハビリテーション―今すぐできる栄養リハビリテーションとADL/IADLトレーニング―」

著者: 福地義之助

ページ範囲:P.444 - P.444

 本書は呼吸リハビリテーションの有効性をしっかりと検証し,すぐに使える技法をわかりやすく記載している点で,まさに書名どおりの“極意伝達”に成功している.江湖に普及して広く愛読されることを期待する.この評価の所以を以下に記して書評とする.

 わが国における呼吸リハビリテーションの施行状況は臨床の現場では,残念ながらまだまだ満足すべきものとはいえない.その理由は2つに集約できる.第一に呼吸器内科の医師をはじめ,リハビリテーションの主要な担い手である理学療法士(PT)や作業療法士(OT)の間でも呼吸リハビリテーションの有用性と実践方法への理解の広がりと深化が十分ではないこと.第二に従来の保険診療の枠組みでは呼吸リハビリテーションへの対価が不当に低かったことが挙げられる.診療点数の見直しで第二の問題点は若干是正され,病院運営上で呼吸リハビリテーションへの人員配置が増加する方向につながったと思われる.

お知らせ

第16回3学会合同呼吸療法認定士認定講習会・認定試験 配布期間・受付期間変更/整形徒手理学療法国際認定セミナーKaltenborn-Evjenth International第11期基礎コース第1回(全9回)/第12回関節ファシリテーション(SJF)学術集会北九州大会/第3回九州ハンドセラピィ研修会/第7回看護師・コメディカルのためのFIM講習会

ページ範囲:P.376 - P.431

第16回3学会合同呼吸療法認定士認定講習会・認定試験 配布期間・受付期間変更

今般の東北関東大震災の影響を考慮し,申し込みに係る諸日程を以下のとおり変更致します.

実施要領(申請書類)ダウンロード可能期間:2011年3月1日(火)10:00~5月9日(月)17:00

申し込み受付期間:2011年5月10日(火)8:00~16日(月)17:00

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次号予告

ページ範囲:P.406 - P.406

「作業療法ジャーナル」のお知らせ

ページ範囲:P.426 - P.426

文献抄録

ページ範囲:P.446 - P.447

編集後記

著者: 横田一彦

ページ範囲:P.450 - P.450

 今月の特集は「がん患者のリハビリテーションと理学療法」です.2008年にも本誌で特集を組みましたが,2006年の「がん対策基本法」制定以降,専門的な知識および技能を有する医師や医療従事者の育成が進められ,2010年には「がん患者リハビリテーション料」の新設など新たな展開がありました.がん患者に対するリハビリテーションにも大きな期待が寄せられているのが現状であると思います.田沼先生には,この分野への取り組みの先達者としてがん患者に対するリハビリテーションの役割を概説していただきました.竹内先生はサイコオンコロジーの立場から,がん患者の心の問題をわかりやすく解説され,理学療法士自身では気づきにくいリハビリテーションスタッフの関わりの重要性も指摘して下さいました.額田氏,中村氏には,理学療法士が関わるときに直面する疾患自体の病勢や治療の副作用による体力消耗状態,動作や活動の制限となる骨転移の問題について,臨床での豊富な経験をもとに,理学療法の進め方や留意点についてまとめていただきました.井上氏には,造血幹細胞移植治療への積極的な理学療法介入について所属施設の取り組みをまとめていただきました.どの論文も示唆に富むものであり,理学療法の対象分野として標準的な取り組みを検討していくべき時期であると強く感じることができるのではないでしょうか.

 その他,春先の恒例企画として「新人理学療法士へのメッセージ」が掲載されています.新人のみならず,中堅,ベテランの方も新鮮な気持ちになれる元気の出る言葉を寄せていただきました.入門講座では「理学療法における接遇とコミュニケーション」が始まりました.理学療法士として人に関わる際の基本として一定のレベル以上は必ず確保しておきたい領域であり,しっかりと見直していきたいものです.

読者の声募集

ページ範囲:P. - P.

基本情報

理学療法ジャーナル

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN 1882-1359

印刷版ISSN 0915-0552

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