文献詳細
文献概要
特集 がん患者のリハビリテーションと理学療法
がん患者の治療/ケアにおけるリハビリテーションの役割
著者: 田沼明1
所属機関: 1静岡県立静岡がんセンターリハビリテーション科
ページ範囲:P.371 - P.376
文献購入ページに移動はじめに
高齢社会となったわが国において,がん罹患者数は年々増加している.2005年のがん罹患者数は約67.6万人1)であるが,2015年には89万人になると推計されている2).一方,治療技術の進歩などにより死亡率が減少しているため,がん生存者も増え続けている.15歳以上の5年有病者数(がん生存者で過去5年以内にがんと診断された者の数)は2000年に150万人であったが,2020年には230万人に達すると考えられている3).このような状況の中,がんによる障害に対応してがん患者のquality of life(QOL)を保つこと,すなわちがんのリハビリテーションの重要性が認識されるようになってきている.
がん患者数の増加に対応するため,2007年にがん対策基本法が施行された.その基本的施策として「がん予防・早期発見の推進」「がん医療の均てん化の促進」「研究の推進」の3項目が掲げられている.そして,「がん医療の均てん化の促進」の具体的内容のひとつとして「がん患者の療養生活の質の向上」が挙げられている.また,がん対策基本法に基づいて作られたがん対策推進基本計画には「がん患者に対するリハビリテーション等について積極的に取り組んでいく」と明記されている.このように行政もがんのリハビリテーションを推進する立場をとっている.
高齢社会となったわが国において,がん罹患者数は年々増加している.2005年のがん罹患者数は約67.6万人1)であるが,2015年には89万人になると推計されている2).一方,治療技術の進歩などにより死亡率が減少しているため,がん生存者も増え続けている.15歳以上の5年有病者数(がん生存者で過去5年以内にがんと診断された者の数)は2000年に150万人であったが,2020年には230万人に達すると考えられている3).このような状況の中,がんによる障害に対応してがん患者のquality of life(QOL)を保つこと,すなわちがんのリハビリテーションの重要性が認識されるようになってきている.
がん患者数の増加に対応するため,2007年にがん対策基本法が施行された.その基本的施策として「がん予防・早期発見の推進」「がん医療の均てん化の促進」「研究の推進」の3項目が掲げられている.そして,「がん医療の均てん化の促進」の具体的内容のひとつとして「がん患者の療養生活の質の向上」が挙げられている.また,がん対策基本法に基づいて作られたがん対策推進基本計画には「がん患者に対するリハビリテーション等について積極的に取り組んでいく」と明記されている.このように行政もがんのリハビリテーションを推進する立場をとっている.
参考文献
1)がんの統計'10.http://ganjoho.ncc.go.jp/public/statistics/backnumber/2010_jp.html
2)がんの統計'03.http://ganjoho.ncc.go.jp/public/statistics/backnumber/2003_jp.html
3)がんの統計'07.http://ganjoho.ncc.go.jp/public/statistics/backnumber/2007_jp.html
4)辻 哲也,他:悪性腫瘍(がん)のリハビリテーション-オーバービュー.総合リハ 31:753-760,2003
5)Dietz JH:Rehabilitation of the cancer patients. Med Clin North Am 53:607-624, 1969
6)Gerber LH, et al:Rehabilitation for patients with cancer diagnosis. DeLisa JA, et al(eds):Rehabilitation Medicine:Principles and Practice, 3rd ed, pp1293-1315, Lippincott-Raven Publishers, Philladelphia, 1998
7)Smelz JK, et al:Rehabilitation of the cancer patient after bone marrow transplantation. PM & R State Art Review 8:321-323, 1994
8)渡邉純一郎:がん治療の理解 Ⅱ.化学療法.臨床リハ 12:868-872,2003
9)西村哲夫:がん治療の理解 Ⅰ.放射線療法.臨床リハ 12:863-867,2003
10)Mirels H:Metastatic disease in long bones. A proposed scoring system for diagnosing impending pathologic fractures. Clin Orthop Relat Res 249:256-264, 1989
11)池永昌之,他:呼吸困難への対応.臨床リハ 10:593-597,2001
掲載誌情報