文献詳細
文献概要
特集 小児理学療法の新たなる展開
特別支援学校における理学療法・士の関わりと展開
著者: 小玉美津子1
所属機関: 1神奈川県立麻生養護学校
ページ範囲:P.479 - P.485
文献購入ページに移動はじめに
近年,医療技術の進歩に伴い,肢体不自由児を取り巻く環境も重度重複化傾向や発達障害児の増加など大きく変化してきている.また少子化にもかかわらず,どこの特別支援学校も子どもの人数は増加傾向にあり1),高等学校に分教室を開設するなど,過大規模化が進んでいる現状である.
福祉分野においては,2004年支援費制度,2005年発達支援法,2006年自立支援法施行,2010年障害者総合福祉法(仮)に向けて,制度改革推進会議の開催1),世界的には1994年のサラマンカ宣言(特別なニーズ教育に関する世界会議)や2006年障害者権利条約の採択2),2001年世界保健機関(WHO)で国際生活機能分類(ICF)3)が採択され,国際障害分類(ICIDH)から障害の概念も大きく変化した.特別支援学校における養護・訓練の障害観は,ICIDHを参考にディスアビリティとして理解され,説明されてきた.その後,国際的な障害者施策の動向により,障害者の「自立」の概念が広く捉えられるようになり,2000年「養護・訓練」から「自立活動」へと名称変更した4).さらに2007年特別支援教育のための教育法の改正施行,2009年特別支援学校の学習指導要領が改訂され,障害の重度・重複化,多様化に対応するとともに,1人ひとりに応じた指導を充実するため「自立活動」の指導内容に新たな項目の追加,重複障害者の指導にあたっては,専門的な知識や技能を有する教師間で協力した指導や外部の専門家を活用するなどして,学習効果を高めることも示された5~7).
こうした様々な変遷の中で教育も大きく変化し,学校内に外部専門家を導入する試みが各地で取り入れられている8,9).神奈川県でも2008年6月より,理学療法士,作業療法士,言語聴覚士,臨床心理士(以下,4職種)を自立活動教諭(正規)として採用し,2011年4月現在,県内15校に27名が配置された.県の取り組みと合わせて,特別支援学校における理学療法士の関わりを中心に紹介し,今後の課題・展望についても若干考察を加えたい.
近年,医療技術の進歩に伴い,肢体不自由児を取り巻く環境も重度重複化傾向や発達障害児の増加など大きく変化してきている.また少子化にもかかわらず,どこの特別支援学校も子どもの人数は増加傾向にあり1),高等学校に分教室を開設するなど,過大規模化が進んでいる現状である.
福祉分野においては,2004年支援費制度,2005年発達支援法,2006年自立支援法施行,2010年障害者総合福祉法(仮)に向けて,制度改革推進会議の開催1),世界的には1994年のサラマンカ宣言(特別なニーズ教育に関する世界会議)や2006年障害者権利条約の採択2),2001年世界保健機関(WHO)で国際生活機能分類(ICF)3)が採択され,国際障害分類(ICIDH)から障害の概念も大きく変化した.特別支援学校における養護・訓練の障害観は,ICIDHを参考にディスアビリティとして理解され,説明されてきた.その後,国際的な障害者施策の動向により,障害者の「自立」の概念が広く捉えられるようになり,2000年「養護・訓練」から「自立活動」へと名称変更した4).さらに2007年特別支援教育のための教育法の改正施行,2009年特別支援学校の学習指導要領が改訂され,障害の重度・重複化,多様化に対応するとともに,1人ひとりに応じた指導を充実するため「自立活動」の指導内容に新たな項目の追加,重複障害者の指導にあたっては,専門的な知識や技能を有する教師間で協力した指導や外部の専門家を活用するなどして,学習効果を高めることも示された5~7).
こうした様々な変遷の中で教育も大きく変化し,学校内に外部専門家を導入する試みが各地で取り入れられている8,9).神奈川県でも2008年6月より,理学療法士,作業療法士,言語聴覚士,臨床心理士(以下,4職種)を自立活動教諭(正規)として採用し,2011年4月現在,県内15校に27名が配置された.県の取り組みと合わせて,特別支援学校における理学療法士の関わりを中心に紹介し,今後の課題・展望についても若干考察を加えたい.
参考文献
1)下山直人:特別支援教育の動向と肢体不自由教育の課題,第47回関東甲信越肢体不自由教育研究協議会栃木大会資料,2010
2)青海恵子,他(訳):障害権利条約 わかりやすい全訳でフル活用,千書房,2007
3)世界保健機関:ICF 国際生活機能分類,中央法規,2002
4)特別支援学校学習指導要領解説 自立活動編,文部科学省,2009
5)特別支援学校小学部,中学部学習指導要領 第7章 自立活動,文部科学省,2009
6)特別支援教育の推進について(資料),文部科学省,2009
7)特別支援教育資料,平成20年度,文部科学省,2009
8)西川公司:神奈川県特別支援教育協力校 運営委員会代2回作業部会資料「自立活動と特別支援教育」,2009
9)佐藤正一:教師の専門性を高めるための東京都におけるさまざまな取り組みについて(資料),2009
10)協働支援チーム宣言 自立活動教諭(専門職)とのチームアプローチによる支援が必要な子どもの教育の充実,神奈川県教育委員会(資料),2010
11)世界保健機関(WHO)厚生労働省大臣官房統計情報部(編):国際生活機能分類―生活機能分類の活用に向けて,財団法人厚生統計協会,2007
12)上田 敏:ICFの理解と活用,萌分社,2009
13)鈴木文治:インクルージョンをめざす学校に 地域変革に挑戦する麻生養護学校の試み(資料),2010
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