文献詳細
文献概要
特集 小児理学療法の新たなる展開
小児理学療法の卒前教育の変遷と展開
著者: 大城昌平1 堺裕2 儀間裕貴3
所属機関: 1聖隷クリストファー大学リハビリテーション学部理学療法学科 2帝京大学 3郡山健康科学専門学校
ページ範囲:P.487 - P.494
文献購入ページに移動わが国の整形外科学のバイブルである『神中整形外科学(初版)』1)の脳性麻痺の項では,「治療の根幹となるべきものは,筋肉に於(お)ける随意運動の精神的竝(ならび)に肉(にく)體(たい)的練習である.脳性小児麻痺に於(お)ける練習療法が其(それ)自(じ)體(たい)としても又(また)非觀(かん)血(けつ)的乃(ない)至(し)觀(かん)血(けつ)的療法に引(ひき)續(つづ)き行はれる後療法としても,不(ふ)可(か)缺(けつ)の基礎的治療法であって,練習療法を行はない種々の手術的療法は結局効果薄弱,或(あるい)は全く無意味に終る危険が存するのである.」と運動療法の重要性を強調している.この一文は,わが国の理学療法の前史において,小児理学療法がいかに重視されていたかを示すものである.
小児理学療法の歴史を振り返ると,小児リハビリテーションの大きな転換期は,高木憲次による整肢療護園設置(1942年)であり,これが日本における本格的な障害児療育の端緒となった.そして,昭和36年(1961年)には全国に肢体不自由児施設が設置されるに至る.肢体不自由児施設では当時,訓練士や医療マッサージ師と称される医療補助者による治療・訓練が行われており,これが小児理学療法の始まりである.そして,昭和41年(1966年)に理学療法士及び作業療法士法が制定されるに至り,各肢体不自由児施設において理学療法士が誕生することになる.
参考文献
掲載誌情報