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文献詳細

雑誌文献

理学療法ジャーナル45巻9号

2011年09月発行

文献概要

入門講座 理学療法と「てこ」・1【新連載】

「てこ」の原理

著者: 田中千歳1

所属機関: 1国士舘大学理工学部理工学科建築学系

ページ範囲:P.787 - P.791

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古代世界とてこ

 てこは,昔から人々の生活と馴染みが深い.例えば,ピラミッドやスフィンクス,日本の城づくりなどで,さまざまな形でてこを垣間みることができる(図1).ピラミッドは,今から4,550年以上も前に,労働者が石切場で石を切り出し,その後,粗加工した状態で搬送して積み上げたものである.大きいピラミッドでは,1個当たり2~2.5トンの重さの石が300万個ほど使われている.搬送は,まず切り出した重い石をそりに乗せる.地面との摩擦力を小さくするために,そりの下にコロを入れ,コロから棒で押して搬送する(図2).わが国の城においても石垣用の石を運搬する時,有益な道具としててこが利用されていたらしい.

 てこに関する歴史的事実では,紀元前214年のシラクサ市民の防戦が伝えられている.古代ローマ軍の軍艦が,シチリア島のシラクサにおいて,市民の「鉄の爪」によって軍艦を持ち上げられ,戦艦の兵士たちが海中に転落した.例え片側だけにしろ,巨大な戦艦を持ち上げる大きな力をシラクサ市民は得たのである(図3).

参考文献

1)Jackson K, et al:Pyramid How and Why it was Built, BBC Books, 2002
2)吉村作治:ピラミッドの謎,岩波書店,2006
3)内田杉彦:古代エジプト入門,岩波書店,2006
4)青柳正規:ローマ帝国,岩波書店,2004
5)Gibbon E(著),中野好夫(訳):ローマ帝国衰亡史,筑摩書房,1995
6)小野瀬順一:建築構造テキスト―釣合と変形の力学,彰国社,2002
7)谷 資信,他:建築構造力学演習教科書,改訂第2版,彰国社,2005
8)三宅政光:やさしい応用力学(上),第3版,彰国社,1998
9)中山正敏:基礎力学,裳華房,1998
10)佐川弘幸,他:力学,第2版,シュプリンガー・ジャパン,2010

掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1882-1359

印刷版ISSN:0915-0552

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