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文献詳細

雑誌文献

理学療法ジャーナル46巻1号

2012年01月発行

文献概要

入門講座 理学療法と吸引―実施にあたり確認しよう・1【新連載】

基礎編①:吸引手順と理学療法士が注意すべき事項―口腔・鼻腔内吸引

著者: 高橋仁美1

所属機関: 1市立秋田総合病院リハビリテーション科

ページ範囲:P.61 - P.67

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はじめに

 喀痰などの吸引は,口腔,鼻腔,挿管チューブ,または気管カニューレ口から,吸引カテーテルを用い機械的な陰圧によって行われる.吸引の目的は,「口腔内吸引・鼻腔内吸引」では口咽頭・鼻咽頭の分泌物や貯留物を機械的に除去し,誤嚥や気道閉塞を防ぐことで,「気管吸引」では気管内に貯留した分泌物などを取り除くことによって気道を開存させることにある.

 喀痰などの吸引は侵襲的医療行為であり,不必要な吸引は患者に多大な苦痛を与える.よって,咳嗽や体位ドレナージなどの呼吸理学療法によって排痰が十分にできるならば,吸引は第一選択にならない.また日常においても,口腔内の清潔保持,適度な湿度・温度設定,水分補給,吸入薬の処方,疼痛管理など,できるかぎり自力喀出できるように配慮することが重要である.吸引は,このような呼吸理学療法や日常の管理を適切に行っても,喀痰などの自力喀出が困難なケースに,その必要性が判断された上で実施される.本稿では,吸引を行うにあたっての基本的事項を含め,口腔内・鼻腔内吸引の実際について解説する.

参考文献

1)高橋仁美:フィジカルイグザミネーションの実際.高橋仁美,他(編):フィジカルアセスメント徹底ガイド 呼吸,pp24-63,中山書店,2009
2)道又元裕:吸引の危険性とその対策.Nursing Today 25:31-42,2010
3)日本呼吸療法医学会 コメディカル推進委員会 気管吸引ガイドライン作成ワーキンググループ:気管吸引のガイドライン.人工呼吸 25:48-59,2008
4)道又元裕:気管吸引の手技 吸引はルーチンで行なわない.Expert Nurse 22:28-33,2006
5)高橋仁美,他:吸引と呼吸管理 喀痰吸引実際.理学療法学 38:471-476,2011
6)(社)日本理学療法士協会内部障害理学療法研究部会呼吸班:吸引プロトコール,第2版,(社)日本理学療法士協会,2010

掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1882-1359

印刷版ISSN:0915-0552

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