理学療法ジャーナル46巻10号

2012年10月発行

特集 地域包括ケアシステムと訪問理学療法 訪問理学療法の展開

2．サテライトの展開

著者： 鈴木修¹

所属機関： ¹社会医療法人財団慈泉会地域在宅医療支援センター

ページ範囲：P.897 - P.904

はじめに

　訪問リハビリテーション（以下，リハ）を効率的により多くの利用者へ提供するうえで，移動時間の短縮は大きな課題である．人口密度の高い都市部では，利用者間の移動距離はわずかで1日に7件以上も訪問リハを提供している事業所もあると聞くが，地方で1日にその訪問件数をこなすのは難しい．

　日本リハビリテーション病院・施設協会が，2010年度老人保健健康増進等事業として実施した「リハビリテーションの提供に係る総合的な調査研究事業（単独型訪問リハビリテーション事業所の実現性に関する研究）」の調査結果^1）では，半径15km以上を訪問範囲と回答した事業所は全体の41％を占めている（図1）．

　筆者が所属する社会医療法人財団慈泉会（以下，慈泉会）は，長野県松本市に所在する．訪問範囲は半径約30kmであるが山間部も多く，端から端まで移動するのに2時間以上を要する．そこで，慈泉会では訪問看護ステーションサテライトを展開し，利用者により近い場所から訪問リハを届けることで移動効率を高める工夫をしてきた．

　本稿では，訪問看護ステーションにおけるサテライト展開を中心に，筆者らの訪問リハの取り組みを紹介する．

参考文献

1）平成22年度老人保健健康増進等事業「リハビリテーションの提供に係る総合的な調査研究事業（単独型訪問リハビリテーション事業所の実現性に関する研究）」（2010年度全国訪問リハビリテーション研究会報告），日本リハビリテーション病院・施設協会，2011

2）吉良健司：訪問リハビリテーションの実際と今後の展望．理学療法学35：174-177，2008

3）全国訪問リハビリテーション研究会（編）：訪問リハビリテーション実践テキスト，青海社，2009