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文献詳細

雑誌文献

理学療法ジャーナル46巻10号

2012年10月発行

文献概要

特集 地域包括ケアシステムと訪問理学療法 訪問理学療法の展開

3.過疎地,都市部の活動現場から考える

著者: 田村茂1

所属機関: 1地域リハビリ支援室・タムラ

ページ範囲:P.905 - P.910

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はじめに

 筆者がリハビリテーション(以下,リハビリ)の世界に入ってから40年が経とうとしている.在宅・地域へのかかわりは,最初に勤務した横浜での筋ジストロフィー児の在宅訪問が最初である.その時の記憶は今なお鮮明で,医師,理学療法士,作業療法士が自宅を訪問し,理学療法士は寝返りの福祉用具,作業療法士はBFO(ball-bearing forearm orthosis)が適応かと提案したものの見事に失敗した.教科書通りにはいかないことを実感させられた出来事であった.

 その後,1983年に施行された老人保健法に基づく機能訓練事業では,市町村の保健センターへ病院から出向き,個別対応,そして集団レクリエーションなどを行った.もちろん在宅へも訪問指導としてかかわった.さらに,当時全国で初めてかもしれないが,長尾竜郎副院長の発案で設置された地域リハビリ部を有する富山県高志リハビリテーション病院に転職し,2,3年後からは県内各市町村で地域リハビリ支援事業を展開し,寝たきり老人等の事例にチームでかかわった.1992年からは本格的に病院単独の退院患者の訪問リハビリに携わるようになり,2000年の退職後は訪問看護ステーションを支援する形で在宅の要介護者にかかわるようになった.現在は県東部の5つの訪問看護ステーションとかかわっている.いずれも常勤換算2.6~4.85人の小規模のステーションであり,人口14,000人,高齢化率32.4%という超高齢の農魚村町から県庁所在地まで,それぞれの地域の特色も多様である.

 本稿では,小さな行政区(いわゆる過疎地)から比較的大きな行政区(いわゆる都市部)の訪問理学・作業療法士としてみえてきたことを,地域包括ケアシステムに不可欠な連携強化の視点を踏まえ,私論を交えて述べる.

参考文献

1)富山県理学療法士会福祉部:機能訓練事業参加者の意識調査,1990
2)大田仁史:介護期リハビリテーションのすすめ,青海社,2010
3)キューブラー・ロス(著),川口正吉(訳):死ぬ瞬間,読売新聞社,1971
4)奈良 勲:理学療法士の立場から観たケアに関する哲学的考察②―あなたのケアの根源はどこにありますか.PTジャーナル45:950-953,2011
5)柏木哲夫:癒しのターミナルケア,pp99-105,最新医学社,2002
6)上田 敏:科学としてのリハビリテーション医学,pp138-140,医学書院,2001
7)ヴァージニア・ヘンダーソン(著),湯槇ます,他(訳):看護の基本となるもの,日本看護協会出版会,2006
8)澤村誠志:地域リハビリテーション白書2,pp12-13,三輪書店,1998
9)山口 昇,他:地域包括ケアのスタートと展開.高橋紘士(編):地域包括ケアシステム,pp22-23,オーム社,2012
10)片山 壽,他(編):在宅医療・訪問看護と地域連携,p50,中央法規,
11)武藤正樹:2012年診療報酬・介護報酬改定ダブル改訂を見据えて.医療関連サービス振興会・月例セミナー(184回),pp23-24,2011
12)村上紀美子:退院支援・在宅ケア―NY &コネチカットに学ぶ,第45回医療制度研究会抄録,2007
1)京都府保険医協会(編著):住民の暮らしを包括的に支えるケアシステムを考える,pp67-75,かもがわ出版,2012
2)小川洋子,他:生きるとは,自分の物語をつくること,新潮社,2012
3)松田明子,他:訪問看護師によるリハビリテーション利用者と理学療法士による利用者との身体的状態の比較.日本公衆誌52:186,2005
4)Rita Charon(著),斉藤清二,他(訳):ナラティブ・メディスン―物語能力が医療を変える,医学書院,2011
5)レベッカ・ブラウン(著),柴田元幸(訳):家庭の医学.朝日新聞社,2002

掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1882-1359

印刷版ISSN:0915-0552

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