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文献詳細

雑誌文献

理学療法ジャーナル46巻11号

2012年11月発行

文献概要

特集 はたらく理学療法士の動機づけ

働く意味と人的資源管理

著者: 谷内篤博1

所属機関: 1実践女子大学人間社会学部現代社会学科・経営学

ページ範囲:P.972 - P.977

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はじめに

 経済の高度化,複雑化,サービス化,さらにはそれらに起因する高度な分業体制は,われわれ個々人の知識やスキルの高度化・専門化を促すとともに,これまで以上に社会的連帯を必要とし,仕事と人間の新たなかかわり方が求められつつある.もはやこれまでのような世俗的な意味において,働くことは単なる生活の糧を得るための手段,すなわち経済的欲求の充足にその主たる目的があるとはいえず,働くこと自体に新たな価値が求められている.

 こうした動きは,何も企業社会や産業社会にのみ顕著にみられるものではなく,医療分野においてもみられる.例えば,理学療法士(以下,PT)の分野でも,高齢者や生活習慣病の増加によるリハビリテーションニーズの高まりや2006年度診療報酬改定に伴い,PTの医療専門職としての質や技量の向上,他の医療職種との差別化がより一層求められている.これまでのような患者(クライアント)とPTの1対1というような閉ざされた担当制のもとでの仕事の進め方やかかわり方では,医療専門職としての望ましいキャリア形成は到底望めない.まさに,PTにおいても新たな働き方やキャリア形成が求められているといえる.

 そこで本稿では,こうした医療専門職であるPTに焦点を当て,企業社会との比較を通して,専門職としての働く意味やキャリア形成のあり方,さらには求められる人材マネジメントのあり方を探究していきたい.

参考文献

1)谷内篤博:働く意味とキャリア形成,pp1-28,勁草書房,2007
2)大庭 健:いま,働くということ,pp39-40,筑摩書房,2008
3)杉村芳美:脱近代の労働観,pp3-4,ミネルヴァ書房,1990
4)尾高邦雄:職業の倫理,pp344-346,中央公論社,1970
5)中根千枝:タテ社会の人間関係,p26,講談社,1967
6)岩田龍子:日本的経営の編成原理,文眞堂,1977
7)中根千枝:タテ社会の人間関係,p27,講談社,1967
8)Allen NJ & Meyer JP:The measurement and antecedents of affective, continuance and normative commitment to the organization. J Occup Psychol 63:1-18, 1990
9)Burchell M & Robin J,伊藤健市,他(訳):最高の職場,pp8-13,ミネルヴァ書房,2012
10)中原 淳:職場学習論,pp148-150,東京大学出版会,2010
11)Greenleef RK(著),金井壽宏(監訳):サーバントリーダーシップ,英治出版,2008
12)中原 淳,他:ダイアローグ 対話する組織,ダイヤモンド社,2009
13)ウィリアム・マーサー社(編):A & R優秀人材の囲い込み戦略,東洋経済新報社,2001

掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1882-1359

印刷版ISSN:0915-0552

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